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    NPTとの関係を議論/原水禁大会の分科会

     大会2日目の5日には、「9条改憲」「核兵器と原発」「被爆体験継承」など13の分科会と特別集会・フォーラムなどが行われた。「核兵器禁止・廃絶ヘ~政府とNGOの対話」のフォーラムには、核兵器禁止条約を主導したオーストリアとアイルランドの政府代表が参加。同条約と核不拡散条約(NPT)の関係が議論になった。

     オーストリア欧州統合外務省・軍縮軍備管理不拡散局長のトーマス・ハイノッチ氏は、NPT第6条が核保有国に核軍縮の義務を課しているにもかかわらず、それが進まなかった経緯に触れ「6条の義務を実行させるための法的基盤になるのが核兵器禁止条約。NPTを補完する役割を果たす」と述べた。

     アイルランド外務貿易省・軍縮不拡散局副局長のジェイミー・ウォルシュ氏も同様の見方を示し、禁止条約がNPTによる核軍縮に悪影響を及ぼすという議論について「核保有国が言い出したうそ」と断言。その上で、核保有国の条約参加の見通しに関して「NPTも当初は核保有国のうち参加は3カ国。残り2カ国は参加まで25年近くかかった」と粘り強い運動を訴えた。

     NPT再検討会議は2020年に開催される。原水協の高草木博代表理事は「核兵器禁止条約が発効すれば、非署名国も政治的・倫理的にこの条約に拘束される」とNPT再検討会議でも禁止条約が核保有国などへの圧力になる点を指摘。核保有国や核の傘にある国々に条約参加を促すには各国主権者の主体的役割が不可欠だと強調した。

     

    〈写真〉50カ国の批准で核兵器禁止条約は発効。海外政府代表の2人は「必ず発効できる。時間の問題だ」と口をそろえた(8月5日、広島市内)