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    賃上げ継続へ、19春闘を議論/金属労協大会/社会的波及の拡大も焦点

     金属労協が9月4日に開いた大会では、2019春闘について発言が相次いだ。今後、賃上げの流れを継続し、底上げ・格差是正、社会的波及力向上に向けた議論が本格化する。

     高倉明議長は18春闘の結果について、ベア春闘が再開した14春闘以降で、賃上げを獲得した組合の比率が最高水準となったことや、中小労組の賃上げ額平均が2年連続で大手を上回ったことに言及し、関係労組の奮闘をねぎらった。

     そのうえで、「改めて政労使が生産性運動・生産性三原則((1)雇用の維持・拡大(2)労使の協力と協議(3)成果の公正な分配)の意義について再認識し実践していくことが重要。人間尊重を機軸とした、真の生産性運動の発展を」との見解を表明。来春闘については「特に、格差是正・底上げのさらなる推進、賃金水準重視の取り組み強化、社会的な相場形成のあり方、人への投資の考え方など、取り組み課題を整理して論議に臨みたい」と述べた。

     連合の神津里季生会長はビデオメッセージで、底上げ春闘が軌道に乗り始めていることに手応えをみせながら「まだ不十分」と指摘。格差を是正し、全ての働く者に成果を波及させるため「(春闘の)メカニズムに踏み込む議論を行っている」と報告した。春闘や働き方改革を進める上で「労使関係が生み出した成果を広げていく仕組みが必要」とも語った。

     

    ●自立か、両立か

     

     自動車総連は、賃上げの波及を受けていない中小労組があるとの課題を示しつつ、「(技術革新による)『100年に1度の大転換期』といわれる中、『人への投資』の重要性が増している。他企業に追従・準拠するのではなく、中小(労組)の自助・公助をベースに真の意味での構造転換を推し進めることが必要だ」と発言。連合が2016年以降進めてきた「大手追従・準拠からの脱却」を強調した。

     JAMは、中小労組が大手を上回る賃上げを獲得した背景に、あるべき賃金水準を労使で話し合う「個別賃金」要求と、14年以来の継続した賃上げの取り組みがあったと指摘。「毎年賃上げが継続されることが当たり前という環境が必要だ。(金属労協の春闘総括で)賃金水準と『賃上げ額による相場形成を両立していく必要がある』と書かれているように、2019、20闘争でも、中小、未組織職場への社会的波及効果を考慮し、従来の取り組みの継続を」と要望した。