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    業務委託偽装にメス入るか/冠婚葬祭大手ベルコの争議/使用者性の有無が焦点

     「会社組織のまるごと偽装」「究極の無責任経営」――。その悪質さを組合関係者らが口をそろえて強調する、冠婚葬祭大手「ベルコ」の使用者責任をめぐる裁判の判決が近く出される。求人サイトの同社情報によると、従業員7002人のうち正社員はわずか35人で、「業務委託等」が6967人。実際には企業の一部門に過ぎないのに、業務委託を偽装することで法の規制を免れようとしているとみられる【概念図】。悪用の拡散を防げるかどうかの分岐点だ――と原告側弁護士は強調する。

     

    ●巧妙な雇用責任逃れ

     

     札幌市内で葬祭業務などに従事していた2人の社員が組合結成を模索したところ、2015年1月、雇用継続を拒否された。通常の争議とは異なり、契約のありようが問題解決を困難にしている。

     2人の社員は社内で「FA職」と呼ばれる。ベルコと委託契約を結ぶ「手稲支部」に1年有期の契約で働いていた。2人の「解雇」は、まず委託契約を結ぶ手稲支部支部長を解約、支部閉鎖に追い込み、新たに委託契約を結んだ別の支部長が2人の雇用を拒否する、という手順で行われた。ベルコは使用者性を否定し、団体交渉を拒否している。

     

     

     原告側弁護団によると、委託契約を結ぶ「支部長」は、70歳の定年制があり、人事異動もある。事務所を決める自由はなく、営業地区やノルマを指定され、従業員の雇用も義務付けられていたという。FA職の給与はベルコから「振り込み代行」の名目で支給されていた。

     原告側は「業務委託形式を乱用して巧妙に雇用責任を免れようとしているに過ぎないから、信義則上、被告(ベルコ)が原告らに対して雇用責任を負うべき」と指摘。同社との雇用契約の確認と、バックペイ、割増賃金支払いを請求している。

     

    ●脱法封じる決め手に

     

     この裁判で注目されるのが、原告側が支部長について、その働き方や裁量の実態から、会社法上の「使用人」に当たるとし、FA職とベルコとの労働契約の成立を主張していることである。使用人であるかどうかの判断基準は、ベルコから指揮命令を受け、支部長が営業補助者に過ぎないかどうかが争点になる。裁判官の訴訟指揮により争点に浮上したという。

     棗一郎弁護士は「戦後73年で初の論点。認められればこの種の契約乱用を封じることができる」と語る。

     連合は2016年、「全ベルコ労働組合裁判闘争対策チーム」を発足させ、加盟する情報労連、連合北海道とともに支援体制をとってきた。

     対策チーム座長を務める逢見直人会長代行は「使用従属性があるのに請負契約を装い、労働者保護を曖昧にしている。多くの国が労働者保護を拡張しているなかで、こうした法の空白をつくビジネスモデルは連合としても看過できない。全面支援することで欺瞞(ぎまん)性を明らかにしていきたい」。

     

     判決は9月28日、札幌地裁で示される予定だ。