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    非正規の雇い止めを容認/最高裁判決/日本郵便65歳定年制裁判

     日本郵便が65歳定年制を理由に期間雇用社員を雇い止めしたことをめぐる訴訟で、最高裁判所(第2小法廷、菅野博之裁判長)は9月14日、上告を棄却し、雇い止めを容認した。原告側は、非正規労働者の生涯年収は著しく低く、高齢でも働かなくてはならないため、定年制の導入は不利益変更になると訴えていた。

     日本郵便は2007年10月1日の民営化に伴い、期間雇用社員の契約更新65歳上限を就業規則に盛り込んだ。労働組合からの申し出で適用をいったん延期したが、11年4月1日から適用を開始。約1万3千人が雇い止めに遭った。

     判決は、一定年齢以降の契約更新を行わないことには必要性と合理性があると判断。原告らが旧公社解散前日に退職している点などを踏まえ、旧公社と日本郵便との労働条件の継続性を否定し、不利益変更ではないとした。

     原告代理人の長谷川直彦弁護士は、原告らが3~4年半の間に6~9回も契約更新を重ねたと指摘。「何回更新しても就業規則があれば無期転換しないという判断にもなりうる。判決は重大な問題をはらんでいる」と懸念を示した。

     原告の一人、丹羽良子さんは「(会社は)65歳定年で解雇した人の中から再雇用しており、制度は事実上崩壊している。今、日本郵便は大幅な人手不足。なぜ私たちが職場に戻れないのか」と怒りをあらわにした。「正社員と同じ業務を担いながら賃金は3分の1。退職金はゼロ。私たちは定年後、生きていけません」と訴えた。

     原告らが加入する日本郵政産業労働者ユニオンは18日、声明を発表。日本郵政が「中期経営計画」で2020年までに高齢者1万人の雇用を打ち出した点について、「就業規則の撤廃は不可欠」と求めた。