「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    〈生涯ハケンへの『改正』から3年〉(4)/「直接・無期雇用」を労使で確認/京都放送労組の取り組み

     労働者派遣法「2018年問題」について、派遣先労働組合はどう取り組んだのか。民放労連京都放送労働組合の古住公義副委員長に寄稿してもらった。

         ○

     京都放送労組は9月、会社に意見書を提出し「(派遣労働者の)直接・無期雇用を進める」との回答を得、10月に入って早速派遣社員組合員の直接雇用を実現しました。

     会社は8月、組合に対し派遣労働者の雇用延長について意見聴取をしました。これを受け組合は、まず派遣労働者の実態を知ることが必要だとして、会社に対し、どの部署に何人の派遣労働者がいるのか、どの派遣会社から派遣を受けているのか、契約開始日と終了日はいつなのか、派遣料金はいくらなのか、なぜ派遣労働者を受け入れるのか、今後も受け入れ続けるつもりなのか――を聞きました。

     これに対し会社は「正社員の業務補完として働いてもらっている」と答え、実態を説明しました。

     

    ●組合要求に満額回答

     

     組合は、執行委員会で次のような意見書をまとめました。

     「今年10月1日以降の派遣労働者の受け入れについて反対する。派遣法の趣旨に照らすと派遣労働者の受け入れは臨時的・一時的でなければならず、常用雇用の代替をしてはならないとなっているが、実態はそうはなっていない。この状態を是正するには(1)派遣労働者を派遣先京都放送直接雇用する(2)派遣労働者を無期雇用にする――のどちらかが必要になる。そして、1997年に労使で結んだ「派遣協定」(労使の合意がなければ派遣労働者を導入できないというのが主旨)を順守すべきだ」

     会社は9月18日、組合の意見(是正処置)に対する方針と題し、次のように回答してきました。

     (1)直接雇用については、今後も(4月に合意した直用化制度と)同様の方針で進める。

     (2)無期雇用については、これまで組合の期間延長の要望を受け延長してきた。今後も要望があれば労使協議していく。

     (3)(97年の)派遣協定は順守する。

     この回答は、是正を求める組合の意見書を全て認めたものとなっています。組合は「無期・直用が雇用の大原則であることを文書で示させた。派遣労働者の地位向上で最も望まれるのは直用化だけに、今回の会社の回答は高く評価できる」と総括しました。

     

    ●派遣先労組の役割発揮

     

     組合は早速、10月25日に3年間の雇用期間が切れる女性の派遣社員の組合員を26日から京都放送に直接雇用するよう要求。会社は、先ほどの方針に沿って直用化要求に応え、雇い止めをせず引き続き働くことを認めました。

     当事者の組合員は「同じ職場の派遣の女性が直用化制度で4月から直用となり、うらやましかった。私も働きたいという希望があり、組合にお願いして要求を出してもらった。世間では派遣切りが横行しているのに、こんなにスムーズに解決できてうれしい」と喜んでいます。

     非正規問題に詳しい弁護士は「派遣法施行3年目を迎える9月に、派遣先指針の通達を十分活用して、会社に雇用の大原則を守らせ、具体的に派遣社員を雇用したことは、京都放送労組が派遣先組合の役割と真価を十分発揮したといえる」と感想を述べています。

     京都放送には23人の派遣社員がいて、うち過半数を超える13人が組合に加入しています。引き続き未加入者を組合に迎え、安定した雇用を求めていく決意です。