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    雇用類似の働き方保護を議論/厚労省検討会/来年夏までに政策提言

     フリーランスなど個人事業主として働く一方で発注者の指揮命令を受けるなど、従属性の強い「雇用類似の働き方」の保護について、厚生労働省の有識者検討会が10月19日、初回会合を開いた。労働者概念の拡大や、ガイドライン策定の必要性などを検討し、来年夏をめどに取りまとめる。

     近年、インターネットを通じて仕事を請け負うクラウドソーシングなど、雇用関係によらない「雇用類似の働き方」が増えてきている。こうした働き方に対応するため、経済産業省が一昨年、研究会を設置し、昨年春の「働き方改革実行計画」に法的保護の必要性に関する検討が盛り込まれた。厚労省は今春、その実態や課題について報告書をまとめた。

     検討会には、法学者や経済学者のほか、リクルートワークス研究所のメンバーが名を連ねている。水町勇一郎東京大学社会科学研究所教授は「労働者概念をどうするか。指揮命令を受けず、成果だけ求められる労働者が増えている。指揮命令や人的従属性だけではなく、経済的従属性をどう入れていくか」と、働き方の変化に合わせた保護の必要性を語った。

     座長に選出された鎌田耕一東洋大学名誉教授は「新しい働き方を広く選択でき、充実した職業生活を送っていただけるよう、当事者の目線に立った検討をしていきたい。この問題は20世紀後半から何度も繰り返し議論している。何らかの形で政策提言をできるようにしたい」。

     

    〈写真〉労働者保護規制を受けられない「雇用類似の働き方」。実効ある規制に踏み込めるかが注目される(10月19日、都内)