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    高プロ制対象5業務示す/労政審の労働条件分科会/労働側は慎重な議論求める

     労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度(高プロ制)についての省令を議論する、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の労働条件分科会が10月31日に開かれ、厚労省事務局が対象業務案を示した。(1)金融商品の開発(2)ディーリング業務(3)アナリスト(4)コンサルタント(5)研究開発業務――の5業務。労働側委員は「広範囲な労働者が対象になる可能性ある」と指摘、詳細な議論が必要と訴えた。

     

    ●「範囲が広すぎる」

     

     自動車総連の中川義明副事務局長は、高プロ制適用対象の「研究開発業務」について「相当範囲が広い。製造業の技術畑の人は全員入ってしまう。新しいモデルの自動車を3、4年かけて作ると、月ごとに技術評価会やイベントもあり、自由度はない。設計は工程管理されている。これらの研究は対象外と思う」と発言。「空飛ぶ自動車づくり、などイノベーションを起こす研究は対象とされるかもしれない」と指摘しつつ、通常の研究開発は対象外だと述べた。

     使用者側委員の輪島忍経団連労働法制本部長は、金融商品の開発業務について「グローバルな観点から、より柔軟な労働時間法制が必要と考える。(柔軟な働き方を導入しないと)今後、金融関係の職種が東南アジアに流出してしまう」と述べた。

     この日は、前回に続き高プロ制の年収要件1075万円も議論に。労働側は低すぎると主張し、厚労省事務局は「年収要件を変えるなら、別途労働条件分科会を開く必要がある」との見解を示した。

     新入社員を高プロ制の対象に含めるのかどうかについて、事務局は「一律に新卒を排除するのはいかがなものか」と述べた。