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    時の問題/低賃金に歯止めなし/入管法改正案/懸念手付かずで衆院採決強行

     外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案が衆院でのわずか17時間の審議で、自民、公明、維新の賛成多数で可決され、参院に送られました。著しい低賃金の横行や悪質ブローカーの介在を防ぐ手立ては何もなく、近年の賃上げ政策に逆行しかねない内容です。

     改正案は外国人労働者としての新たな在留資格を設けます。大半が、国際社会から「人権侵害」と批判されている外国人技能実習制度(最大5年)からの移行が想定されています。

     なぜこれほど急ぐのか。唯一の理由が人手不足への対応。来年春以降に在留期限を迎える技能実習生を、低賃金の労働力として使い続けたいという意図がみえみえです。

     

    ●法律ではなく省令で

     

     その雇用契約について改正案は、報酬の決定などの差別的処遇を法務省令で禁じるとしました。一方、技能実習制度は法律の条文で日本人と「同等以上」の報酬を支払うよう定めていますが、多くが最低賃金水準か、それ以下。法律で定めていても守られないのが実情です。法案には具体的な改善策は何もなく、成立後定める省令に「白紙委任」する形です。

     悪質ブローカーを防ぐ規定もありません。外国人労働者と受け入れ企業を仲介する「登録支援機関」は、技能実習制度より甘い登録制。派遣会社も参入でき、「『私は暴力団だ』と言わなければだれでもなれる」(坂本恵・福島大学教授)という立て付けです。

     技能実習制度で仲介役を担う「監理団体」は、実習生1人当たり月3万円などの高額な委託料を受け入れ企業から徴収しています。この慣行が実習生からの過酷な「ピンはね」を生む要因。同様の事態が起きない保障はありません。

     韓国のように外国人労働者の受け入れを国が一括管理すれば、受け入れ企業の負担や、来日の際の実習生の借金を軽減させ、「ピンはね」もなくせると指摘されますが、政府・与党は手を付けようとしません。

     

    ●賃上げの努力を無に

     

     国会審議では政府が示した「5年間で34・5万人」という数字が、受け入れ上限ではないことが明らかになりました。技能水準や日本語能力の基準も法案には示されず、省令任せです。

     賃金や処遇が極端に低い外国人労働者が今以上に大量に流入すれば、やがては国内の賃金や労働条件を引き下げる重しとなるでしょう。各業界のこれまでの賃上げの努力を無にしかねません。一部の外国人の問題ではなく、日本で働く者全体に関わる問題となっています。