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    時の問題/入管法改正案でも国会軽視/働き方関連法審議とそっくり

     外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案の国会審議では、調査結果の歪曲(わいきょく)や、制度の根幹の設計を成立後の省令審議に委ねるなど、国会軽視の姿勢が際立っています。働き方関連法の審議と共通しています。

     改正案は、新たな在留資格として、一定の技能を必要とする特定技能1号と、「熟練した技能」を持つ同2号を新設します。

     政府は必要な技能水準、受け入れ基準について、法案成立後に省令で定めるとしています。制度の根幹を明らかにしないのは、対象業務や年収要件を省令に委ねた高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)の場合と同じで、なるべく対象範囲を広げたいからでしょう。

     調査結果の歪曲も。外国人技能実習生の主な失踪理由について、政府は「より高い賃金を求めて」と実習生に責任を転嫁する答弁を繰り返していましたが、実際は「低賃金」「指導が厳しい」「暴力」の計が大半を占めていたことが判明しました。働き方関連法では、裁量労働制で働く人の労働時間が通常労働者よりも短くなるように見せた、調査データの歪曲が行われていました。

     受け入れ業種や人数の公表には終始後ろ向きでしたが、世論の批判に押される形で11月14日、ようやく国会に示しています。

     政府・与党は来年4月施行に向け、臨時国会で同法案を成立させる構えです。そのためにも、国会には都合のいい情報だけを示し、できるだけ審議を避けようという意図が透けて見えます。

     人権侵害が横行する現行の実習制度の問題や、国内賃金への影響、医療や教育の社会基盤整備など問題は山積みです。将来に禍根を残さないためにも腰を据えた十分な審議が必要です。