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    月45時間を時間外上限に/教員の働き方改革特別部会/罰則も残業代もない空手形?

     文部科学省の中央教育審議会・学校における働き方改革特別部会が12月10日、答申素案などをまとめた。勤務時間上限は指針で「月45時間、年360時間以内」とし、罰則は設けず、残業時間に応じた時間外手当も支給しない。1年単位の変形労働時間制は2021年の導入を目指す。文科省は12月21日まで答申素案のパブリックコメントを募集している。

     指針では、働き方改革関連法の内容を踏襲し、月45時間、年360時間を時間外労働の上限とした。罰則規定は盛り込まない。「給特法」の下では認められない、授業準備などの時間外労働も時間管理の対象としたが、超勤手当は支給しない。

     「給特法」は、公立学校の教員に適用されている。特定業務以外の時間外労働は自主的行為とみなして労働時間と認めず、月給4%分の調整給を支給。答申素案は「給特法の基本的な枠組みを前提」と記した。

     1年単位の変形労働時間制については、部活動や大会などの縮減、夏休み中の学校閉庁日設定などを前提に導入を打ち出した。地方公務員は労働基準法の変形労働時間制規定が適用されない。導入に向けた制度改正を2019年に着手し、2020年の実施をめざす。導入は自治体で判断する。

     同日の部会審議で、東京都三鷹市長の清原慶子委員は、教員の過労死問題について「働き方改革を考える重要な要素の一つ。学校で尊い命が失われてはならない。命を守る使命を果たすためにも、答申の冒頭に(過労死防止を)記述するのが望ましい」と意見を述べた。教職員定数の改善にも触れ、「記述箇所が少ない。養護教諭、ソーシャルワーカーを含め、定数改善を盛り込んでほしい」と加筆を促した。

     鳴門教育大学副学長の佐古秀一委員も「上限時間を順守できるか疑問。現在の教職員定数では困難だ。定数改善を明確にすべき」。その上で時間管理が必要とし「深刻な問題。退勤の打刻後に残業するよう校長が若手教員に指示したケースをいくつか聞いている」と述べ、相談窓口を設けるなど具体的な対策を求めた。

     給特法について、学校マネジメントコンサルタントの妹尾昌俊委員は「指針では自発的業務も時間外勤務として管理するというが、(残業代請求や過労死事件の)判例では公務と扱われていない。指針よりも判例の方が強い」と指摘し、あらためて給特法の改正を訴えた。

     

    働き方是正期待できず/日教組談話

     日教組は答申素案を受けて同日、談話を発表した。サービス残業の見直しを求めてきたにもかかわらず、給特法の制度維持を前提にした答申を不十分と批判した。

     1年単位の変形労働時間制についても「現状の長時間労働を追認するものであり、根本的な是正策とはなり得ず容認できない」と述べ、文科省自らが大幅な業務削減を進めるべきとした。