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    北海道/小規模でも医療機関残して!国立八雲病院の廃止・移転計画/障害者家族と職員が訴え

     小児期に発症した筋ジストロフィーと重度心身障害がある患者のための国立病院機構八雲病院(北海道八雲町)。2020年に廃止し、機能を80キロ先の函館市と、200キロ先の札幌市にある既存病院に移転する計画について、入院患者家族と職員から不安の声が上がっている。家族らは、移るのが困難な患者が安心して療養できる医療機関を残してほしいと訴え、年明けから署名をスタートさせる。

     

    ●当事者の意向を軽視

     

     廃止・移転計画は16年に発表された。国立病院機構は医師不足や施設の老朽化を理由に挙げている。既存の北海道医療センター(札幌市)に筋ジスなどの施設をつくること自体は歓迎されているが、八雲病院廃止には異論が多い。患者・家族は「今の医療水準が移転先で維持されるのか」「環境変化に敏感な患者をどうやって安全に遠距離移送するのか不明」などの不安を訴えている。

     加えて、機構による一方的な進め方への不信感も強い。「国立八雲病院を守る住民の会」が16年の計画発表後にまとめた調査報告書では、患者家族から「病院から意見聴取されたことはない」「個別の説明はなかった」「八雲を離れるのは嫌と言えない雰囲気。いろいろ決められて何も言えない」などの声が上がっていた。

     国立病院機構の施設で働く労働者でつくる全医労によれば、八雲病院職員の4割が移転先に異動できないと考えている。長年勤めているベテランほど退職の意向が強く、その点も患者・家族の不安をもたらす原因になっているという。

     

    ●後医療確保へ署名

     

     12月6日には、住民の会と全医労北海道地協が国会内で集会を開き、計画の見直しを求めた。全医労本部の香月直之書記長は「1986年に行われた国立病院の大規模な統廃合・再編計画の時、国は機能を地域の病院などに引き継ぐよう努力した」と指摘。今回についても機構として何らかの医療機関確保に責任を持つべきだと訴えた。

     八雲町で暮らしている患者の家族は「(高齢のため)雪が降る冬など、とても札幌まで会いに行けない。小規模でも、なんとか残してほしい」という。

     住民の会と全医労は「移転後の後医療機関設置を求める要請署名」をスタートさせる。来年の4月末まで活動を続け、5月に要請行動を予定している。