「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    ベアの大手超え、さらに強化へ/JAM19闘争方針策定/公正基準確立へ個別賃金重視

     中堅中小の機械・金属の労組でつくるJAMは1月16日、2019春闘方針を決めた。16春闘から続く、中小組合の賃上げが大手を上回る傾向をさらに強められるかが焦点となる。底上げ、格差是正、社会的公正基準の確立に向け、あるべき賃金水準を目指す個別賃金要求の取り組みを強めたい考えだ。 

     方針は前年に続き、底上げ・底支え、格差是正を重視、全ての単組が月例賃金の引き上げに取り組むとともに、深刻な人材難を踏まえた賃金水準の引き上げを行う。高卒直入者の所定内賃金で「30歳・27万円」「35歳・31万円」を全単組が目指すべき水準に設定。平均賃上げ要求では引き続き1万500円(ベア6千円)以上とした。

     JAMは18春闘で、賃金構造維持分を把握できる764組合が賃金改善分(ベア)を要求し、614組合が獲得。平均は1597円だった。うち300人未満の中小組合の改善分の平均は1625円で、300人以上の1517円を上回った。連合が「大手追従・準拠からの脱却」を掲げ始めた16春闘以降、回答で中小が大手を上回る傾向が続いている。改善分を獲得した中小組合も16年の361組合から456組合に増加した。

     中井寛哉書記長はこの傾向をさらに強めたいと述べた上で、企業規模間の格差を是正し、賃金の社会的公正基準を確立するためにも個別賃金の取り組みが必要と指摘。地方のオルグの役割が重要と語った。

     

    ●一時金では波及しない

     

     安河内賢弘会長はあいさつで、経団連が今春闘の対応指針で一時金重視の姿勢を示しているとの報道に触れ「われわれの基本姿勢はあくまでも基本給のベースアップが主軸だ。一時金には社会的波及効果がない。大手が今以上の一時金を積み上げても中小にとってはただうらやましいだけだ」と述べ、個別賃金要求、月例賃金重視の粘り強い闘争を呼びかけた。

     米中の貿易戦争や英国のEU離脱などの世界経済の不安定要因を理由に、賃上げに消極的な姿勢を示す動きが経営側の一部に見られることについても「足下の経営状況が順調である以上、デフレ脱却と、社会、経済の好循環実現に向けて、働く者の努力に応えなければならない」とけん制した。