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    ベア容認しつつ一時金重視?/19春闘の経労委報告/中小の底上げ要求を非難

     2019年春闘の経営側の対応指針である経団連の経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)が1月22日、公表された。今年もベースアップを「選択肢」として容認しつつ、月例賃金だけではなく、一時金など「多様な方法」による対応を提起している。中小労組の底上げについては今年も抑制的な姿勢だ。

     報告は「企業収益の拡大を背景とした賃金引上げのモメンタム(勢い)を維持することで、経済の好循環に引き続き寄与していくことが期待される」と近年の基本姿勢の踏襲を表明。収益体質が改善した企業については「多様な方法による年収ベースの賃金引上げや総合的な処遇改善を進めていくことが求められる」とした。

     ベアを容認しつつ、その配分については若年層に加えて、中堅・シニア社員や「優秀社員」に重点を置くことを検討課題とした。手当の見直しや一時金の増額も、月例賃金引き上げに代わる選択肢として推奨している。

     報告は、連合が絶対額重視の姿勢を強めたことを評価する一方、定昇制度のない中小労組の1万500円以上を目安とする底上げ方針を「実態とかい離している」と非難。社会的な波及効果が見込まれる「2%程度」の要求基準について「主張の一貫性を欠いている」とけん制している。

     一時金が耐久消費財などの個人消費拡大につながっていることに言及したほか、過去5年間の大手のベアが累積で9千円に上ることをことさらに強調。「ベアよりも一時金重視」の方向をほのめかしている。