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    沖縄レポート/次は全国民が答えを出す番だ/県民投票の大成功を受けて

     2月24日に投開票が行われた沖縄県民投票は成功した。全国紙の評価は真っ二つに分かれた。テレビ報道の印象は「当惑」あるいは「無視」だった。

     日本政府の反応は「空虚」で暴力的だった。沖縄の基地問題に関して、安倍首相も菅官房長官も実体のある言葉を発することができない。「真摯(しんし)に」とか「寄り添う」とか「負担軽減」とか、むなしさだけがこだましている。

     埋め立て「反対」が投票資格者(有権者)の4分の1(約29万票)を大きく超え、投票率も50%を超えたことから、成功と断言できる。

     投票率が他の選挙より低かったと言い募る人たちもいる。人を選ぶ選挙ではなく、政権与党の自民・公明、そして維新が「静観」するという盛り上がりにくい状況にもかかわらず、有権者の過半数が意思を示した事実は重い。昨今、投票率が過半数を割る選挙が珍しくない中で、民主主義上の正当性を確保したことは間違いない。

     

    ●全市町村で反対が多数

     

     上記の2要件(投票率と4分の1獲得)は、政治的には最低ラインだった。それを上回る多くのポイントとして(1)「反対」が7割を超え、これまで重ねられた世論調査結果を裏付けた(2)「反対」が、玉城デニー知事が知事選で獲得した過去最多の39万票を大きく上回る43万票に達した(3)首長選挙で政権支援側が勝利したところも含め全ての自治体で「反対」が多数となった(4)出口調査の結果、全ての年代で反対が多数だった――などが挙げられる。確固たる明確な民意だ。

     「賛成」意見の大半が「政府がやると決めた以上、止められない」「条件闘争をするしかない」「この問題を早く終わらせたい」という消極的容認だったことが、事前事後の報道で示されたことも重要な点だ。

     

    ●住民投票の価値を確認

     

     さらに大きな意義は、間接民主主義の弱点を補う住民投票の価値を全国に知らしめたこと、世論の力で全県実施を実現したこと、全国民に沖縄の基地問題を「自分にとって」どうかと考えるきっかけを与えたことである。

     沖縄に基地を押し付け続けたい人々は、これらの結果に対し「当惑」するか「無視」するかしかないのである。

     同じ日に天皇在位30年記念式典も開催された。24日配信の共同通信記事は沖縄に焦点を当てて書いていた。「宮内庁幹部は『陛下は過去だけでなく、今のこともご心配だと思う』と話す」という記述が目を引いた。この式典も沖縄をめぐる「当惑」を増幅させたのではないだろうか。

     県民投票は今年4月の統一地方選、7月の参院選にも必ず影響があるはずだ。今度こそ、全国の全ての候補者に沖縄基地問題を問う運動が求められる。(ジャーナリスト 米倉外昭)