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    今年も中小が大手上回る/金属労協の3月末回答/人手不足が追い風に

     金属労協は4月2日、中堅・中小を含む3月末段階の回答集計を公表した。賃金改善(ベア)の全体の単純平均は昨年同期を69円下回る1383円。全体としては前年割れが目につく一方で、300人未満の中小労組の健闘が目立つ。

     企業規模別では、千人以上が昨年同期比240円減の1225円で、300人未満(776組合)はほぼ昨年同期並みの1477円。ベア・賃金改善の上げ幅では、中小組合が大手を上回っている。浅沼弘一事務局長は「人手不足が厳しくなり、中小の引き上げ額が昨年以上に高くなっている」と説明した。

     今年の交渉環境は、米中の「貿易戦争」など、先行きへの不透明感、景気の減速感が日に日に強まっている。高倉明議長は「景況感が非常に悪くなっている。厳しい環境の時こそ人への投資が有効だということをしっかり訴えていきたい」と述べ、残る半数の未解決労組の交渉に期待をつなげた。

     産別でみると、自動車総連、JAM、基幹労連で、中小労組が大手を上回っている(表)。電機連合は中小が低額だが、野中孝泰委員長によると、メーカー労組傘下の関連企業労組を含む282組合のうち、227組合が水準改善(ベア)を獲得、大手組合が引き出したベア千円の波及は、300人未満の組合で8割近くに及ぶという。