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    「このままでは介護崩壊進む」/全労連の介護労働実態調査

     全労連は4月22日、介護現場で働く約6千人の労働実態の調査結果を発表した。介護施設では約半数が健康不安を感じ、3分の2が「辞めたい」と思うことがあると答えている。岩橋祐治副議長は「深刻な実態が浮き彫りになった。処遇改善と介護制度の見直しを行わなければ介護崩壊がますます進む」と警鐘を鳴らした。

     調査は昨年10月から4カ月間、傘下の労組を通じ、施設介護、訪問介護で働く5817人に聞いた。

     介護施設で働く人は、「病気がち」を含め、約半数が健康不安を感じている。疲労の蓄積を訴える声は6割に上る。

     仕事を辞めたいと思うことがあるかとの問いには、「いつも」「ときどき」の合計が6割を超える。理由は複数回答で「仕事がつらい・忙しすぎる・体力が続かない」が55・9%。以下、「賃金が安い」39・9%、「仕事の達成感・やりがいを感じられない」21・6%が続く(グラフ)。正規労働者の賃金は22・6万円で、全産業平均より8万円低い。

     64%が「目の届かない所での転倒・転落、誤嚥(ごえん)」の事故を1年以内に経験したと答えている。事故の原因について多忙と人員不足の指摘が圧倒的に多い。

     

    ●人手不足が深刻

     

     訪問介護で働く人の平均年齢は55・5歳。高齢化が進む。人手不足を実感している割合は6割、正社員では8割に及ぶ。「訪問に追われ事務的な業務ができない」など、ヘルパー不足が正社員の仕事に影響しているという。

     千葉県内で登録ヘルパーとして働く亀井貴子さんは同日の会見で「時給は1390円。キャンセル時の保障がなく不安定だ。介護現場の処遇は改善されていない」と語った。

     

    〈写真〉会見では「介護従事者の労働条件が劣悪なままでは良い介護が提供されない」と、制度の改善が訴えられた(4月22日、都内)