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    公共サービス守る闘いを交流/自治労連が国際シンポ/英・米・韓の公務労組代表が参加

     自治労連(猿橋均委員長)は5月19日、初の国際シンポジウムを都内で開いた。「新自由主義のもとでの公共サービス破壊に立ち向かう公務労働者」がテーマ。英国、米国、韓国の公務労働者を招き、各国で進む民営化・民間委託と、その下で進む労働条件破壊の現状と闘いを交流した。

     

    ●世論味方に賃下げ撤回/英国

     

     英国最大の産別労組ユナイトのマーク・ウッドさんは、緊縮政策との闘いについて報告した。保守党政権による自治体の予算削減や民営化により、2010年以降76万人を超える公務労働者の雇用が失われ、住民の貧困化が進んだという。

     一方で反撃も始まっているとして、自らの出身地であるサウサンプトン市での経験について語った。保守党主導の自治体当局が2011年に賃金カットと昇給凍結を提起、4500人の職員をいったん解雇した上で低賃金で再雇用する方針を打ち出した。

     組合は波状的なストライキを行い、併せて千人以上を原告とする裁判闘争を進め、提案を撤回させた。マークさんは「街頭や地域社会で大規模な政治的キャンペーンを展開した。これが世論の支持を勝ち取り、議会への圧力となった。議員たちに『このままでは選挙に勝てない』と思わせることに成功。市議会選挙では労働党多数の議会をつくることができた」

     当面の課題は政権交代だとし、地域での経験を踏まえて変化を起こしたいと語った。

     

    ●交渉権なくても勝利/米国

     

     米電気機械無線労働組合(UE)の150支部委員長を務めるブライス・カーターさんは、南部の自治体で道路メンテナンスの仕事をしている。

     公務労組の団体交渉が違法とされ、協約締結に罰則が科される南部諸州。組織率の低さや人種・性別による差別も根強く、運動には困難が伴うと語り、南部が民営化や民間委託の実験場になっていることを報告。公立学校の民営化(チャータースクール化)に加え、ハリケーンの被害を受けた地域では公立病院や公共住宅が放置され、公的資金を活用した民間企業の復興事業などが進められていると語った。

     困難な中でもノースカロライナ州で昨年、同州の全公務労働者に最低時給15ドルを保障する議会決定を勝ち取った。議員へのロビー活動などの運動を通じて実現できたという。

     

    ●水道の委託阻止教訓に/韓国

     

     韓国公共運輸労組の全北平等支部で組織部長を務めるイ・テシクさんは、介護や下水道、ゴミ処理をはじめとする多くの自治体業務で民間委託が進んでいる実態を報告した。

     2000年代初めには全州市で上水道の委託阻止を勝ち取り、その後も委託事業の直営化や労働者の正規職化を目指す取り組みを進めていることを紹介。民間委託に対抗する上では(1)委託業者の従業員を組織する(2)マスコミや学者、市民団体、政党などと一緒に連帯組織をつくる(3)委託事業を監視し、弊害を市民に知らせる(4)委託の弊害を是正する市民参加型の日常的な討論を行う――などの方針を説明した。

     2010年以降は「市民・地域社会とともに歩む社会的労働運動」を追求し、市民の共感を得る運動スタイルへの脱皮を図っていると語った。

     

    〈写真〉シンポに臨む各国代表。左から英国のマーク・ウッドさん、米国のブライス・カーターさん、韓国のイ・テシクさん(5月19日、都内)