「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    時の問題/制度設計と予算要求が急務/会計年度任用職員制度/来年4月施行は大丈夫か

     自治体で働く非正規公務員の大半は来年4月、新制度(会計年度任用職員制度)に移行します。そのための制度設計や条例制定が必要ですが、多くの自治体では「財政措置が不明確」などの理由で作業があまり進んでいません。このままでは混乱は必至。制度づくりを急ぐとともに、必要な財源を確保する取り組みが求められています。

     

    ●9月議会がギリギリ

     

     新制度は、2017年の改正地方公務員法などで創設されました。雇用期間を「1年」とするなど問題点も少なくありませんが、新たに期末手当(一時金)の支給を可能とした点をはじめ、改善部分もあります。

     来年4月の施行に間に合わせるには、今年の6月議会か遅くても9月議会での条例制定が求められます。自治体側は作業遅れの理由について「国による財政措置が不明確だから」と言いますが、この問題を管轄する総務省は自治体労組との話し合いで「財政当局に積極的に予算要求していきたい」と明言。そのためにも自治体が制度設計を急ぎ、8月の概算要求期までに必要な額を固めてほしいと訴えています。

     

    ●国の責任で財政措置を

     

     財務省を含め、国として法律のスムーズな施行に責任を持つのは当然です。

     問題は自治体側の消極姿勢でしょう。これまでも、新制度を回避する目的で非正規職員の業務を丸ごと民間委託して、雇い止めを強行しようとしたところがありました。財源問題を口実に逃げを打つのではなく、制度設計をした上で処遇改善にいくら必要かを算出し、必要な財源については労使で予算獲得の努力をすべきです。