「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    「物価上昇分を俎上に」/安河内JAM会長/2020春闘の意義に言及

     中堅中小の金属関連労組でつくるJAMの安河内賢弘会長は5月24日、来春闘について「実質賃金を低下させない取り組み」の必要性をアピールした。同日都内で開いた中央委員会でのあいさつ。春闘の中間総括も確認された。

     5月13日現在の回答集計では、ベアなど賃金改善分を獲得した540組合の平均は1602円となっている。300人未満では1673円、特に100人未満の1868円が出色だ。

     安河内会長は中小組合の健闘をたたえつつ、「物価上昇分(1%程度)が取れていない。賃金制度の劣化をどうするかが労使の重要なテーマとなる」と指摘。「来春闘は物価上昇分を議論の俎上(そじょう)に乗せ、実質賃金を低下させないこと、可処分所得をリーマンショック(2008年)以前の水準に回復させることが求められる」と語った。この時期では異例の、来春闘への言及だ。

     

    ●「絶対額重視」へ

     

     中間総括は、米中貿易摩擦や、中国経済鈍化の影響を受け、経営側の厳しい対応に直面したと振り返る一方、「深刻化する人材不足への対応、(賃金)絶対額を重視した粘り強い交渉が展開された」と指摘した。賃上げを獲得した組合は昨年同期比微減でばらつきがみられること、4年連続で300人未満の組合が300人以上を上回ったことを特徴として示している。

     重視する個別賃金の取り組み組合数は横ばいで、広がりに欠ける。30歳・技能職など個別銘柄の賃金水準を決め、全体を引き上げる要求方式だ。個別賃金で回答を引き出した300人未満の49組合(30歳ポイント)のベア平均は2603円。上げ幅で回答を引き出す従来方式と比べて、高いベア水準となっていることに注目を促している。