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    工具所持を犯罪視し連行/東京土建の組合員/中野警察署員が違法取り調べ

     東京土建品川支部の組合員、中野健太郎さん(配管設備)が工具箱にマイナスドライバーなどを入れていたことが犯罪とされ、中野警察署で違法な取り調べを受けた。警察官からは「建設業者はろくなもんじゃない、クソだ」などの差別的な発言もあったという。中野さんは「建設業者全体の問題だ」と考え、東京都に慰謝料の支払いを求めて提訴。6月13日には東京地裁で第1回公判が開かれる。このほど、東京土建の会議で中野さんが話した内容を紹介する(東京土建機関紙「けんせつ」6月1日号から転載、一部略)

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     2月4日の夜、マンションで漏水が発生したとの緊急要請で対応しました。午後10時半ごろに仕事を終え、作業車に戻って一服していたところへパトカーが来て、職務質問されました。

     免許証と車検証を見せて説明。車の中も見たいというので見せたところ、工具箱からガラスクラッシャー、電工ナイフ、マイナスの貫通ドライバーが出たということで、あっという間にパトカーに取り囲まれ、検挙すると言ってきました。

     工具箱から工具が出たからと、銃刀法だの軽犯罪法違反だのというのは、誰がどう考えてもおかしいでしょうと私が話すと、警察官は「反抗するなら公務執行妨害で逮捕する」と言ってきました。結局、連行されてしまいました。

     

    ●「建設業者はクソだ」

     

     中野警察署の取調室には若い署員たちと当番部長という年配の巡査部長がいて、明らかに犯罪だと言うのです。

     何が犯罪なのかはっきり説明してくれ、建設業者なので工具箱に工具が入っているのは当たり前だと押し問答になりました。当番部長は「建設業者はろくなもんじゃない、クソだ」と言いました。

     そして裁判所の令状もなしに身体検査を始めました。当番部長が若い署員に股間や肛門まで調べさせましたが何も出ないので、今度は「前科・前歴があるだろう」と。

     免許証で調べて、ないのは分かっているはずと抗議し、工具が違法なのかどうか本部に確認しなさいと話しましたが、「そんな必要はない、プラスドライバーはセーフ、マイナスドライバーはアウトなんだ」と言います。法律にそんなことが書かれているのかと抗議したら、当番部長は「ここでは俺が法律だ」と言い放ちました。

     

    ●職質強化月間の犠牲に

     

     その後、全指紋と手のひらの掌紋と、前、斜め、後ろの顔写真を撮られました。撮影した警察官は「これであんたも犯罪者の仲間入りだ」と言いました。全国犯罪者データベースに載るということです。

     地域課の壁に大々的に「職務質問強化月間、めざせ地域課長賞」という垂れ幕が貼ってありました。若い警察官に地域課長賞とは検挙率か検挙数なのかと聞くと「検挙数です」。数がほしいということで、これはでっちあげだと分かりました。

     供述調書が勝手に書かれてきました。「私は危険な凶器と知りながら車に隠し持っておりました」というもので、母印を押せと言うのを拒否しました。何日も勾留すると言われたので、結構ですと答え、最後には「不当な取り調べで大変迷惑しています」といった内容に変えたので母印を押しました。

     解放されたのは朝の6時くらい。すぐに弁護士と(東京土建)品川支部に相談しました。支部は由々しき事態だと立ち上がってくれました。東京土建は建設業者に何かあった時に全面的にサポートしてくれる組織だということがあらためて分かりました。

     

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    コメント: 1
    • #1

      みらび (土曜日, 23 9月 2023 20:50)

      ひでえな