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    中小団体は全国一律制に反対/自民最賃議連がヒアリング/国による支援の要望も

     全国一律最賃をめざす自民党有志の議員連盟は5月29日、日本商工会議所など中小企業経営者3団体にヒアリングを行った。関係者らは全員、全国一律制に反対を表明。一方、中小支援についての要望では、取引価格の適正化や社会保険料の減免を挙げた。

     日商は8割の中小企業がコスト増分の価格転嫁に難航しているとの調査結果を示し、最賃の引き上げは経営を圧迫すると指摘。全国一律制で地方の中小企業が経営不振に陥れば、さらに都市部への流出が加速すると述べた。東京と山口の生計費の差が月3万7千円にも上るとし、「各地域の家賃や生活費等の水準を十分考慮すべき」と主張した。

     全国商工会連合会は「全国一元化は現行水準以上に大幅な引き上げとなり断固反対」、全国中小企業団体中央会も「高い水準での統一には反対」とした。

     最賃引き上げの際の支援について「取引価格の適正化が重要だ」「助成金の使い勝手をよくしてほしい」(日商)、「社会保険料(負担)を引き下げれば経営が成り立つのではないか」(全国連)との見解も表明された。

     議連の山本幸三幹事長は「最賃を上げると中小企業がつぶれるというが、本当にそうなのか冷静に考える必要がある。商売が成り立つには購買力が必要。人口が減る以上、所得を増やさなければならない。じり貧に行くのを座視するのか、それとも新しい発想で食い止めるのかの選択だ」と短絡的な反発を戒めた。

     

    〈写真〉最賃議連の会合には厚生労働省の職員らがほぼ毎回出席している(5月29日、都内)