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    解雇の金銭解決阻止を/連合中央委員会/春闘改革で意見も

     連合が6月6日に開いた中央委員会では、違法であっても金銭を支払えば労働者を解雇できる「解雇の金銭解決制」の法制化阻止へ具体的な取り組みを求める意見が出された。同制度は日米経済界が2000年代初めに導入を試み、労働組合が反対して阻止してきた経緯がある。現政権下で着々と準備が進められており、労働側の対応が問われている。来春闘の方針について、性急な見直しにくぎを刺す発言もあった。

     解雇の金銭解決制は現在、「解雇無効時の金銭救済制度」と名称を変え、厚生労働省内で技術的な検討が行われている。全水道は「極めて許しがたい制度だ。譲歩せず断固反対すべき」と発言。全国ユニオンも「早ければ秋以降の審議会討議もあるのではないか。国政選挙の争点に浮上させることが必要だ」と攻勢的な取り組みを求めた。

     連合の最重点政策には同制度の導入阻止を明記している。本部は今後策定する来年度の運動方針で検討するとした。

     

    ●水準のみならず幅も

     

     春闘をめぐっては、基幹労連が「企業によって賃金制度に違いがある中、(連合が)賃金水準と併せ、引き上げ幅を示すことが(取り組み組合の)幅の広がりや底上げ・底支えにつながる。賃金水準のみに傾注するのではなく、引き上げ幅にもこだわる取り組みを強く要請する」と述べた。連合内では春闘再構築の議論が進行中だ。

     JAMは中小企業の採用難の問題が今では「人材流出」へと深刻化していることを報告し、単価引き下げなどで十分な利益を確保できず、廃業が増える懸念を語った。今後行う春闘総括では、実質賃金や労働分配率の変化を分析すべきと提案。また、地域別最低賃金への関心が従来以上に高まっているとし、「連合のスタンスをしっかりと社会に示す必要がある」と述べた。

     本部担当者は、水準だけでなく上げ幅も重視する姿勢をあらためて表明。最賃については「重要さを増している。地域間格差の是正、あるべき水準について議論していく」と述べた。

     中央委員会では、春闘中間まとめ、2020~21年度政策制度要求、社会保障・教育・税制に関する政策構想を確認した。

     

    〈写真〉連合中央委員会後の決起集会には、立憲民主党、国民民主党の代表が出席し、おごれる安倍一強政治の打破を訴えた(6月6日、都内)