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    最賃が大統領選争点に/米国の運動で萩原教授

     米国の最賃引き上げ運動について、萩原伸次郎横浜国立大学名誉教授が都内で開かれた集会で講演し、2020年の大統領選と連邦議会選挙に言及。民主党の進歩派とされるバーニー・サンダース上院議員らの運動の盛り上がり次第では、連邦最賃の大幅引き上げも実現可能だとの見方を示した。

     オバマ政権時に準備された、連邦最賃(全米に適用される最賃、7・25ドル)を10・10ドル(1125円)に引き上げる法案は、成立こそしなかったが、その後カリフォルニアなど18州や首都ワシントンのあるコロンビア特別区で、州最賃の大幅引き上げにつながった。

     荻原教授は連邦最賃引き上げの意義について、「10・10ドルが実現すれば最賃ギリギリで働く約200万人の賃金を引き上げ、その家族を含め1千万人以上の貧困を減らすことができると、当時の大統領経済諮問委員会が指摘していた。自らの労働で貧困から脱出できれば当事者の励みとなり、多くの人に喜びを与える」と語った。

     一方、トランプ大統領は最賃の引き上げを否定。民主党の進歩派候補に対しては「社会主義者」だと攻撃し、企業活動を縛る規制の強化にはあからさまな嫌悪感を示している。

     同教授によると、大統領選候補に名が挙がる民主党関係者の中では、ジョー・バイデン前副大統領を除き、サンダース上院議員ら有力候補が、富裕層と大企業への課税強化、投機家への課税、15ドルへの最賃の大幅引き上げを主張しているという。

     「仮に民主党候補がバイデンになったとしても、進歩派が支持を広げる中で、彼らの政策が吸収されていく。連邦最賃大幅引き上げも夢ではない。2020年の大統領選、連邦議会選では、多くの若い候補が最賃の引き上げを訴えるだろう。(日本でも)このように閉塞(へいそく)感の払拭(ふっしょく)を粘り強く追求していくべきだ」と語った。