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    原爆の悲劇訴える「辻詩」/大阪で四國五郎展開催中

     絵本「おこりじぞう」の挿絵で知られる詩画人、四國五郎(しこくごろう)の回顧展が大阪大学総合学術博物館(豊中キャンパス)で開催中だ。原爆の悲劇を訴えた貴重な作品をもとにその足跡をたどる。

     四國五郎は1924年、広島県三原市生まれ。20歳で兵役に就き、約3年間のシベリア抑留を体験した。帰国後に原爆で弟が亡くなったと知った四國は、反戦文化運動に参加。「にんげんをかえせ」で始まる峠三吉の「原爆詩集」やサークル誌に多くの挿絵を提供した。広島平和展(現広島美術展)など、市民が反戦と平和を語り継ぐ運動を長年にわたり支えた。

     広島の街角に貼り出し、占領軍に見つかる前に撤去したという「辻詩」も展示。画びょうの痕が残る画用紙には、四國が水彩で描いた原爆投下後の街を背景に、峠の力強い詩が浮かび上がる。帰国時に持ち出しが禁止されていたシベリア抑留時の日記やスケッチも紹介されている。

     回顧展は7月20日までで入場無料。問い合わせは同博物館06(6850)6714

     

    ●ネットで世界に広がる

     

     米マサチューセッツ工科大学は、画像で歴史を学ぶプロジェクトのウェブサイトで「Ground Zero 1945」を公開中だ。広島平和記念資料館の元館長、故高橋昭博さんの被爆体験を再現した四國の作品を掲載している(英文のみ)。https://visualizingcultures.mit.edu/groundzero1945_2/index.html