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    全国一律制実現へ法改正を/全労連の評議員会/最低賃金取り組み方針を補強

     全労連は7月30、31の両日、都内で評議員会を開いた。昨年の大会方針を補強するのが目的で、改憲阻止と安倍1強に対抗する野党共闘の促進、組織拡大、最賃闘争などが重点。最賃については、法改正を前提とした「アクションプラン(4カ年計画)」が最終年を迎えることから、全国一律制に向けて運動を強化し、来春に最賃法の改正を実現したい考えだ。

     全労連はこれまで、17道府県で最低生計費試算調査を実施し、各地で最賃生活体験も行ってきた。活動を通じて現行水準では暮らせないことをアピール。大幅引き上げと全国一律制の実現を目指し、署名や自治体決議などにも取り組んだ。

     与党の自民党内に全国一律制を求める議員連盟が発足したほか、7月の参院選では、維新を除く各党が最賃を公約に掲げた。日本弁護士連合会と36の地方弁護士会は大幅引き上げの会長声明を出している。こうした動きを踏まえ、最終年度に力を入れる構えである。

     

    ●来年3月にヤマ場設定

     

     小田川義和議長は冒頭のあいさつで最賃闘争に触れ、「全国一律千円、1500円実現」の課題について(1)大企業への富の偏在に歯止めをかける経済施策として位置付け、合意を広げる(2)最賃を引き上げた企業への社会保険料減免や補助金拡充など国による直接的な施策を求める(3)労働者の運動参加を広げる(4)全国一律が地域間格差などを縮小する効果を持つことへの確信を持つ――と訴えた。

     方針は、第一の運動のピークを11月7日の中央行動に設定し、3月の中央行動をヤマ場と位置付けた。世論をさらに喚起し、政党や国会議員、政府・厚生労働省に法改正の政治決断を迫ることとしている。

     取り組みとして、毎月15日のディーセントワークデーを全国一斉宣伝日とすることや、単産主導による10万人職場学習、県労連などが主催する市民オープン型の最賃集会、自治体の意見書採択、女性・若者を中心とする当事者の組織化、署名などを行う。

     

    ●中小企業支援とセット

     

     全国一律最賃制のイメージも提起した。

     最低賃金法を改正することとし、地域別最賃を廃止した上で「全国一律制最賃」を新たに設定。産業・業種別の特定最賃との2制度とする。

     一気に移行するのは困難として、法改正後5年程度の経過措置を設ける。最賃の水準は最低生計費試算調査の結果を基に時間額1500円を求めていく。

     「格差と貧困の是正」「地域経済再生・活性化」の二つの視点を重視し、最賃引き上げと中小企業支援策をセットで実施する考えである。