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    全国一律制へ政治決断迫ろう/全労連・国民春闘共闘/最賃運動推進全国交流集会

     全国の最低賃金の改正額が出そろう中、来年の通常国会での全国一律最賃制の法制化(最賃法改正)に向けて運動を強め、政治決断を迫ろうと8月21日、全労連と国民春闘共闘委員会が最賃運動推進全国交流集会を開いた。全国から120人が参加した。

     春闘共闘の小田川義和代表幹事(全労連議長)は先週、韓国の労組ナショナルセンター、民主労総と行った懇談の内容を紹介。最賃の大幅引き上げは政治決断が不可欠であり、単なる賃金雇用政策ではなく、中小零細企業対策を含む経済政策としての位置づけが必要だと述べた。

     7月の参議院選挙では日本維新の会を除く主要政党が最賃引き上げを公約に掲げたことに着目。今年度の全国の改定額について、「Dランクを中心に目安額に上乗せして答申した。とりわけ鹿児島は東京を1円上回る29円の上げ幅。兵庫も目安から1円上乗せし、大阪と同じ上げ幅にした。〃わずか1円、されど1円〃大変大きな変化だ」と評価した。

     最賃引き上げ運動の意義を、(1)暮らせる賃金を国の政策として保障させる(2)労働分配率の回復を目指す取り組み―と指摘した上で、予想される解散総選挙に向け、今秋から各政党が政治課題として位置づけるよう取り組みを呼びかけた。

     

    ●学生がアンケート調査

     

     記念講演した齊藤敦徳島文理大学教授は、同大学の学生が地域活性化と賃金引き上げに関するアンケート調査を県内の経営者や労働者などを対象に行ったことを報告。賃上げの方策としての最賃引き上げについて考えるシンポジウムを開いたことも紹介した。

     調査活動に参加した11人の学生が登壇し、「低賃金によって若者が都市部に流失し過疎化が進むという悪循環がある」「都市部で働きたいという人が多い。最賃引き上げにより地方で働きたいという人が増えるのではないか」「実際、東京と徳島では生活に違いはない。(最賃の)格差がありすぎるのはおかしい」「都市部と地方で生活は変わらないのに最賃格差があることを世間の人に知らせる。実態をツイッターなどで拡散したり、最賃全国一律を公約に掲げる政党に投票することが必要」と語った。

     

    〈写真〉最賃運動推進全国交流集会には120人が参加。小田川代表幹事は「財界の中でも経済政策としての最賃引き上げを主張する人が出始めている」と述べた(8月21日、都内)