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    賃上げと雇用安定求めスト/ノルウェー/オンライン食事配達の労働者

     オスロ(ノルウェー)でオンライン食事配達の事業を展開している国際企業「フードラ」の労働者が、8月20日からストライキを決行中だ。同社は、配達員を「従業員」と定めているが、団体協約の履行に伴う財政負担ができないとして7月、協約締結を拒否。行政によるあっせんも不調に終わったため、専業で働く102人がストに突入した。同国のフードラ配達員は、副業を含め約600人。運輸労組と合同労連がこの2年間、組織化に取り組んできた。

     

    ●市長や市民からも支援

     

     組合の主な要求は、(1)3年間据え置きの賃金引き上げ(2)自転車やスマホなどにかかる諸経費について会社の応分負担(3)安全対策や職業訓練を充実――だ。

     配達員はフードラの仕事が好きだが、公正な労働条件の下で働きたいのだと組合は主張する。スト中は市民に対し、フードラのボイコットを呼びかける一方、オスロ中心部でスープキッチン(炊き出し)や自転車の無料修理サービスを提供している。

     ストは国内外で大きな反響を呼び、オスロ市長も多くの市民と共にストを支援している。参加者の士気は高く、組合はフードラが営業する他市へもストを拡大させる方針だ。

     同社は過去に、ウィーンで労使協議会の設置に合意しているが、スウェーデンのストックホルムで運輸労組が配達員の組織化に取り組んだ際は、処遇を一部改善しただけで、団体協約の締結を拒んだ。オーストラリアでは組合づくりが進むと、負債を残して事業を閉鎖した。カナダでは現在、郵便労組が組織化に取り組んでいる。

     

    ●業界では競争が激化

     

     オンライン食事配達をめぐる国際競争は、激しさを増している。売り上げでは、中国の国内市場に専念する「美団点評」が業界トップと言われ、日本を含めた世界40カ国へ進出したウーバーイーツ(米国)が、これを追う。

     先月合併を発表した欧州のテイクアウェイ(オランダ)とジャスト・イート(英国)は、ウーバーイーツをしのぐ事業規模になる。この合併を受けて、デリバルー(英国)がドイツ市場から撤退した。ドイツ生まれのフードラは、既にテイクアウェイの傘下にあり、豪州に加えてドイツやオランダからも撤収している。

     日本では、ウーバーイーツで組合結成の機運が高まっているが、欧州では各国で生まれた組合が、国際会議を開いて交流・連帯を図るに至っている。ほとんどの場合、各社は配達員を独立事業者と定めているため、不安定雇用から労働者を守ることが共通の課題となっている。(国際運輸労連政策部長・浦田誠)