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    労使で法を上回る処遇改善/連合がシンポ/「職場から始めよう」運動の成果

     連合は近年、同じ職場、地域で働く非正規労働者の処遇改善に取り組む「職場から始めよう運動」を呼びかけ、好事例集を毎年発行している。9月20日に都内で開いたシンポジウムでは、今年度の好事例集で紹介された労組のリーダーらが参加し、法律を上回る処遇改善や職場環境整備の取り組みを報告した。

     埼玉県を中心に店舗を展開する食品スーパー、ヤオコーでは昨年、労使協議の末、勤続1年以上のパート労働者について原則全員が無期労働契約に転換する社内制度を整備した。所定労働時間が20時間未満の人も含め、対象者は1万3千人に上る。

     有期労働契約から無期契約への転換が義務付けられた労働契約法のルールは、勤続5年超が要件。法を大幅に上回る制度設計だ。

     全ヤオコー労働組合(UAゼンセン)の天野昇史委員長は「パート社員がいなければ仕事にならない。例えば鮮魚売場で刺身をおいしそうに切れるようになるには、ある程度の期間勤めなければならない。できるだけ長く勤めてもらうことが生産性と業績の向上につながる。実際に多くが2年を超えて働き、契約を反復更新している」と話す。

     組合の当初の要求は3年での転換。それが「1年」という形で実を結んだ。最も説得力があったと感じているのが、パート社員の「社会的地位向上」の訴えだったという。

     天野委員長は「労働金庫から融資を受ける際、雇用契約が有期か無期かで融資限度額が全然違う。パート社員にはシングルマザーも多い。自動車購入など『まとまったお金を融資してほしい』という要求が強いことや、業界のパート社員の地位向上が必要だということを経営協議会で訴えると、社外取締役らも賛同し、『1年』になった」と経緯を語った。

     

    ●組合未加入者の声も

     

     地方公務員法などの改正により、臨時・非常勤職員を新制度の「会計年度任用職員」に切り替える労使交渉・協議が各地で大詰めを迎えている。

     大阪市職員労働組合(自治労)は昨年から市内24区役所で働く非正規職員に説明会を重ね、延べ200人が参加。今年1月、新制度について労使が大筋合意した。正職員給与表の適用と正規同様の定期昇給を確認し、年収ベースで30~60万円の処遇改善になるという。

     制度化で心を砕いたのが専門職の処遇。正職員の給与表を適用しても専門職が賃下げとなるためだ。

     同労組の林鉄兵副委員長は「交渉で押し戻し、一時金を含め年収トータルではプラスになった」と述べた上で、「組合が関与する職種は約300ある。全ての専門職の人々の話を聞くのが大変だった。組合員ではない人の意見も聞いたのが制度を整備する上でよかった」と振り返った。

     大阪市では組合を嫌悪する行政トップの下、庁舎内での組合活動が制限されている。庁外で開催した説明会には多数の当事者が訪れた。今後、非正規職員の組織化と雇用確保に本腰を入れる、と語った。

     非正規労働センターの石黒生子総合局長は「悪い労働条件を放置すれば、全体の労働条件も必ず悪くなる。非正規労働者の課題の解決は、正社員の労働条件を守ることでもある。来年4月施行のパート有期雇用労働法(『同一労働同一賃金』)は絶好のチャンス。処遇改善と同時に、必ず組織化につなげてほしい」と取り組みを呼びかけた。

     

    〈写真〉シンポでは非正規労働者の処遇改善について話し合った(9月20日、都内)