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    核兵器廃絶を「自分ごと」に/市民団体などがイベント

     国連が定めた「核兵器の全面的廃絶のための国際デー(9月26日)」を前にした23日、都内で記念イベントが行われた。核兵器廃絶日本NGO連絡会が主催し、国連広報センターが共催。市民に核兵器廃絶の課題を「自分ごと」として捉えてもらうにはどうすればいいか、について話し合った。

     

    ●白黒写真をカラー化

     

     パネル討論では、渡邉英徳東京大学大学院教授が自ら手掛けている「記憶の解凍」プロジェクトについて報告した。戦災や、戦前の日常生活を撮った白黒写真を人工知能(AI)を使ってカラー化する取り組みである。「灼熱(しゃくねつ)の炎などがリアルになり、戦災の恐ろしさが伝わる。加えて、平和だった人々の日常生活がどうだったかを感じてもらえるのではないか。カラー化によって過去と現在を地続きで考えてほしい」と要望した。

     署名を集めて国連に届ける高校生平和大使を務めた経験がある、大学生の布川仁美さんは「日本政府が核兵器禁止条約を批准してくれないことに悔しい思いをしている。難しい大人の事情があるのかもしれないが、もやもやする」と胸の内を明かした。その上で、平和運動が若い世代に広がらない悩みについて「平和運動っていうと、私の周りでは『恐いおじさんたちが行進しているんでしょ』というイメージ。これをどう変えていけばいいのか」と悩みを語った。

     

    ●身近なところから

     

     会場からも埼玉県の女子高生が発言し「広島や長崎とは平和に関する学校教育が違うんだと感じる。原爆で何があったのかも知らない中高生たちにどうアプローチしていけばいいのか」と質問した。

     渡邉教授は「おじさんたちのスタイルをまねる必要はなく、自分たちのスタイルでやればいい。例えば、広島や長崎に行かなくても、各地の空襲被害について学ぶことから始めてもいい。できることから一歩一歩進め、大人は若者に芽生えた意識を大事にしていくことが必要」と述べた。

     「ヒバクシャ国際署名」キャンペーンリーダーを務める林田光弘さんも「被爆者は関東に約1万人住んでいる。皆さんには、ぜひ各地で会ってつながってほしい」と要望した。

     

    〈写真〉パネル討論で発言する渡邉英徳東京大学大学院教授(9月23日、都内)