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    「変形労働制は欺瞞だ」/全教が国会前でアピール

     全日本教職員組合(全教)は10月4日、公立学校教員への1年単位の変形労働時間制導入に反対し、国会前で集会を開いた。政府は今国会で導入を可能にする法改正を予定している。

     小畑雅子委員長は、長時間労働に苦しむ教員が望んでいるのは、教員の増員と業務削減だと強調した。変形労働時間制で、夏休み期間の休日まとめ取りが可能になっても、授業期間中の所定労働時間を延長した代償に過ぎないと指摘。「政府と文科省は教員増や予算措置などの努力もせず、(労働時間の延長で)教職員の時間を奪い、あたかも働き方を改善するかのような幻想を振りまこうとしている。こんな欺瞞(ぎまん)は許せない」と怒り、導入阻止を呼びかけた。

     さいたま市では7月、1カ月単位の変形労働時間制が一部の学校で試行された。埼玉県教組の北村純一委員長は「夏休み期間中に7月の延長分を調整できる日が見つからず、負担が増えただけ。対象外の子育てや介護中の教員は心苦しい思いで早く帰り、チームワークはぎくしゃくした」と報告し、制度は長時間労働を合法化するだけの最悪の仕組みだと訴えた。

     岡山高教組の松本太副委員長は、時間外労働が常態化した職場に変形労働時間制を導入するのは、ことわざの「一升徳利に二升は入らぬ」だと批判した。「一升の徳利を変形させても二升のお酒は入らない。もう一本徳利を用意するか、お酒を少なくするかしかない。器の形だけを変えた法案は断じて通してはいけない」と述べた。

     

    〈写真〉「変形労働制では定時が延びるだけ」と訴える参加者(10月4日、国会前)