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    「組合つぶしを許さない」/鹿児島の食品スーパー/ゼンセン加盟労組を連合が支援

     残暑厳しい9月1日、連合鹿児島の下町和三会長が「労働組合に対する挑戦を許すわけにはいかない。徹底的に闘おう」と声を張り上げた。怒りの矛先は、鹿児島や宮崎で95店舗を展開する地場大手スーパー、タイヨーでの組合つぶしだ。鹿児島市役所前には、自治労や私鉄総連などの組合旗が立ち並び、組合員ら400人が拳を突き上げた。

     

    ●組合を徹底して無視

     

     労使関係が変調をきたしたのは、昨年30歳で3代目社長に就任した創業家の清川継一朗氏と、実母である副社長に経営の実権が移り始めてから。商品の販売方法や人事制度に大なたをふるった。

     UAゼンセンによると、同社では長時間労働が横行し、2015年には労働基準監督署から数度にわたり勧告を受けていた。経営側は全タイヨー労働組合(UAゼンセン加盟)の改善要求を聞き入れることなく、多数の管理職(副店長以上)が賃下げとなる人事制度改変をはじめ、パートや有期雇用の従業員の労働時間を一律1時間短縮するコスト削減を強行した。就業規則変更に必要な「過半数代表の意見聴取」は行わず、労働時間削減も組合を完全に無視した。その後、労働時間削減は、事前協議がなかったため組合員に関しては白紙撤回された。

     UAゼンセン本部の町田吉宏副書記長は「組合結成から45年間、労使関係が壊れたことはほぼなかった。創業者は従業員の顔と名を覚え、2代目はその背中を見てきた。生まれた時から社長の座が約束された3代目は、自分が何でもできると勘違いしているのではないか。労組の忠告が疎ましいのだろう」と話す。

     厚生労働省のホームページには、労使でパワハラ防止を進めている好事例として、約7年前のタイヨー労使のインタビュー記事が掲載されている。このことからも以前の良好な労使関係が読み取れる。

     相次ぐ不利益変更に対し組合は18年5月、臨時大会を開き、パート、有期社員に加えて、店長の組織化を決定。約1200人を拡大し、「過半数に手の届くところ」にまで迫った。経営側はその後、なりふり構わない姿勢に転じた。

     

    ●正体不明の組合が出現

     

     同年10月、「タイヨー管理職組合」という団体が社内に突如として登場した。過去に社長室長を務めた元経営幹部が委員長だ。結成の経緯や、組合規約の存在、電話番号までもが不明で、組合費は年間わずか100円。管理職組合は社内での活動を認められているが、全タイヨー労組は一切認められていない。

     今年3月以降、「管理職組合」による全タイヨー労組の組合員への脱退勧奨が本格化した。本部の仕入れ担当などの組合員がターゲットとされ、約30人が脱退届を提出。7月には再び大規模な脱退工作が行われ、約70人が脱退届けを出した。組合が参院選対応に追われる時期をまるで狙いすましたかのような行動だった。

     脱退届け提出者への組合の聞き取りには、「上司から何の説明もなく『名前を書いて印鑑を押してくれ』と言われた」「(組合の所在地・連絡先は)分からない」などの証言がつづられている。

     タイヨー本社は取材に対し、「取材には一切応じない」と述べている。

     

    ●解決へ、連合乗り出す

     

     全タイヨー労組とUAゼンセンは7月29日、東京都労働委員会に救済を申し立てた。産別本部が申立人に名を連ねることで、都労委での解決を目指す。管理職組合を「違法な会社製組織だ」とし、組合員に対する勧誘の中止、管理職組合の解散、団交応諾などを求めている。産別本部に民主化対策委員会を立ち上げ、全国支援の体制を敷いた。

     連合本部も動き始めた。山根木晴久総合組織局長名(当時)で9月13日、管理職組合に対し、質問状を送付。管理職組合の結成が、会社による支配介入の道具立てである事実を問いただしている。送付以降、全タイヨー労組組合員への脱退勧奨は止まったという。鹿児島に続き、連合宮崎も近く支援行動を始める。

    ●売上は激減、離職は増

     同社の売り上げは15年度の1251億円から18年度は956億円に減少した。従業員の離職も後を絶たない。町田副書記長は「経営の失敗」を指摘する。

     一方、同社への包囲網は強められつつある。このまま粗雑で乱暴な組合つぶしをやめず消耗戦を続けるのか、あやまちを認め早期に解決するのか、経営側の判断が問われている。

       ○

     近年、経営者の代替わりや企業再編に伴う組合つぶしなどの不当労働行為が目につく。随時掲載する。

     

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    コメント: 11
    • #1

      匿名希望 (火曜日, 17 12月 2019 23:45)

      どうして こんなに大変な状態なのにニュースや報道はないのか?おかしい?
      何かの
      圧力があっての事なのだろうか?
      毎日市町村事故のニュース誰かドキュメントにしたら興味深い
      これからのタイヨーは縮小へ続くのか?それとも経営の 失敗なのか マスコミに動いてほしい。そして 前社長の考え現社長の考えが知りたい。

    • #2

      平井和正 (金曜日, 20 12月 2019 07:38)

      三代目が、大店を潰してしまう事態は時代劇でも、よくある話。 創業の苦労を、知らない真に能天気な人物なのでしょうね。 組合に対する不当労働行為については、合法的に徹底的に戦って欲しい所では、あります。投函されていたチラシを読む限り、現経営陣には現状を正確に分析する能力は乏しそうですね。 長く続く地元企業なだけに残念です。 しかしながら、似たような経験を京セラ国分でかなり以前にしました。もっと巧妙な悪どい手段でした。地元マスコミが全く取り上げない点も、スポンサーを失いたくないでしょうし。政治家にも手を回している事と思います。本当に、お気の毒に思います。 出来うればこの災いを、生まれ変わる試練と捉えて頂き運命共同体の有志の方々と乗り越えて欲しいと思います。社員 パート アルバイト皆さんが幸福な人生を生きる権利があります。明るい笑顔で、お客さんを迎えられますように願っております。

    • #3

      疲労困憊 (木曜日, 21 5月 2020 23:14)

      助けてください。こんなはずではなかった。現場は大変なことになってます。社長はこの状況わかっているのですか?
      このままでは、大勢の人がやめることでしょう。
      上司の顔を伺いながらの仕事。少人数での作業。圧力。
      体を壊します。

    • #4

      せめて話だけは聞いて下さい (土曜日, 19 9月 2020 20:05)

      全くもって同じ意見です。
      たくさんの辞めなくても良い優秀な社員や店長までメンタルをやられて
      退職しています。
      残るのはゴマすり上手なイエスマン上司と年配社員ばかり……
      あと10年後はどうなってる
      人数は減らされ、仕事量は増え、
      残業はするな、売上上げろ
      俺たちは神様じゃない

    • #5

      神宮司龍峰 (木曜日, 26 11月 2020 01:16)

      タイヨーストアーは
      鹿児島県民にはなくてはならないスーパーです。
      霧島市に住んでいますが
      タイヨーストアーは霧島市民の愛着のあるスーパーです。
      今後も県民の為に頑張って欲しいです。
      社員の皆さんの努力に期待します。

    • #6

      鱗崎のび太 (月曜日, 21 12月 2020 10:13)

      過去にこの会社に在職したものには、来るべきもが来たという感想です。
       初代会長は戦後の苦労人、2代目は実の弟(現、マナーハウス島津重富荘オーナー)と骨肉の争いを繰 り広げたヤヤ冷血な苦労知らずのゴルフ好きの経営者?かな。夫人はミス川内。
       イエスマンしか生きられないところです。 挙句、サン食品へ島流し。
       サン食品は所属長が、PSの前に座って部下の勤怠管理を改ざんして残業代減らし。
       呆れるのは、総務課長が幽霊社員を勤務させて自分の口座に横領。その額1億円。
       そんなタイヨーグループです。
       かつてのダイエーだって吸収された、ここも代わってくれないかな。


    • #7

      匿名 (日曜日, 20 6月 2021 00:19)

      先日副社長が店に巡回に来ました。お付きの人を2人つれて、お付きの一人は元気よく大きな挨拶をしもう一人は殿様気取りで入ってきて副社長は挨拶するどころか無視まるで女王様のように。
      テレビや雑誌で見るときの顔とは大違い。人間として最低です。
      何が私が売上を伸ばしたなんて言うか。従業員みんなのおかげだろうが。くずです

    • #8

      匿名 (土曜日, 01 10月 2022 04:22)

      我が町のタイヨーが、惜しまれつつ閉店しました。
      ここ数年で殺風景になり、客離れが気にはなっていましたが、閉店が決まってから連日多くのお客さんで賑わい、本当に残念で悔しくてなりません。
      創業者の御意志を継がれる方はいらっしゃらないのでしょうか?
      背中を見てきたはずの二代目はなぜ嫁と若僧に託して放棄した?
      長年、どの店舗も、あたたかくて活気のあるお店だったのに、最近はほとんどの店舗が白々してしまって。上記を拝読して納得してしまいました。酷い話で、本当に残念です。
      現場の方々が大変なら少し値上げして人増やしても他店より安いしいいのにと思っていましたが、横領や社長宅など他で贅沢されていては。
      社員の声に聴く耳を持たない、従業員の事を考えられない勘違い陣営は、会社経営陣とは言えないでしょう。
      やはり嫁が出できたら社員は苦労しますね。
      非常に残念ですし、長年鹿児島県民の庶民の味方だった会社なだけに、これからがとても心配です。
      内部事情はわかりませんが、現場の社員さんや従業員の方々には、楽しみに来るお客様に意識を向けられて、健やかにこれからも日々がんばっていっていただきたいです。
      そうしながら、いつか会社が正しく導かれ、皆様安心して働ける日がきますよう願っております。
      現場の皆様に感謝し、応援しています。がんばってください。

    • #9

      匿名 (火曜日, 06 12月 2022 09:46)

      前職この会社に勤めていた者です。今は県外におり久しぶりに鹿児島に帰ってきて大型店のサンキュー店舗を複数周りました。なんというか、もぉ自分の知っているタイヨー・サンキューではないな。という印象でした。店はたしかに綺麗でタイヨーらしさは残っている?って感じでしたが前のようなたくさんのお客様があふれかえってタイムサービスや安売りでごったがいしていた風景はどこにいったのか、とかなり寂しい印象でした。自分も退職した当初は会社と組合が争っていて店舗の店長が圧をかけられ組合を潰しにかかって残業はダメ社員登用制度の事実上の廃止と泥沼な頃でした。今の職についてからはタイヨーの社員さんや関係のあった人達からたくさん相談を受けたりします。まず、第一声が「ヤバイよ。この会社」から皆さん始まります。自分も経験していたからわかりますが転職された方は皆さん活き活きと次の職業で働いている印象です。こう書いていても自分の経験や技術はタイヨーから学んだ事がほとんどです。本当にお世話になった会社だからこそ昔のような地域密着で必要不可欠なタイヨーに戻ることを祈っています。

    • #10

      匿名 (月曜日, 06 3月 2023 16:19)

      リストラも行わず本業のスーパー経営を立て直してきた。
      https://diamond-rm.net/management/63586/
      と言っていることに驚き。

    • #11

      匿名 (月曜日, 31 7月 2023 19:19)

      リストラも行わず本業のスーパー経営を立て直してきた。
      https://diamond-rm.net/management/63586/
      ・資料を減らす(店舗社員も管理職も資料作りに追われる→無駄を省く)
      >メーカーが残業して資料作りをやらされています。提出しても文句ばかり。