「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    国会審議と付帯決議の反映を/市民らが院内集会/パワハラ指針素案を問題視

     パワハラ防止関連法に関する、厚生労働省の指針素案は国会の審議や付帯決議を十分反映していないとして、改善を求める集会が10月29日、国会内で開かれた。主催は、市民や学識者らによる実行委員会。与野党の国会議員をはじめ、連合、全労連、全労協の関係者が参加した。

     指針素案は10月、労働政策審議会の分科会に提示された。事業主がパワハラに対応する際の判断基準や具体的な防止対策を示している。ただ、この内容については、規制対象となる範囲が狭い、例示が不適切、国会審議や付帯決議の内容が反映されていない――など批判の声が上がっている。

     男女共同参画推進に取り組んできた三浦まり上智大学教授は、1990年代末から2000年代の労働法に関する国会審議が行政の指針にいかに反映されているかを検証した研究結果を紹介。「(当時は)露骨に無視することはなく、きちんと反映されていた。素案は、今までの国会の常識とかけ離れている。超党派による熟議を要請したい」と改善を求めた。日本労働弁護団の新村響子弁護士は、素案のパワハラに関する例示が曖昧で、「ブラック企業」に悪用される恐れがあることなどを指摘した。

     自民、公明、立憲民主、国民民主、共産、社民の各党の国会議員が出席。フリーランスや、性的少数者、男女差別解消を求める市民団体のメンバーらが改善を求めた。厚労省は素案を年内にもまとめる予定。

     

    〈写真〉フリーランスや就活生へのハラスメントは「無法地帯」だけに、集会では実効ある規制を求める声が上がった(10月29日、国会内)