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    朝日放送に団交応諾迫る/派遣スタッフの労組/「解雇理由に納得できず」

     朝日放送(大阪市)から一方的に契約を解除(解雇)された派遣スタッフ5人が「解雇理由に納得できない」として、労働組合(朝日放送ラジオ・スタッフユニオン)を結成。会社に対し、団体交渉で理由を説明せよと迫っている。

     吉岡雅史委員長によると、5人は長年、24時間3交代制でラジオニュース班に勤務した。放送用原稿の作成にとどまらず、社員の不在時にはワンオペ(1人勤務体制)で対応。地震や気象警報が出る際には、社員に代わって速報原稿も書いた。契約形態は特定派遣だったが、労働実態は社員同等か、それ以上だったという。

     にもかかわらず会社は、2018年4月のホールディングス(持ち株会社)化だけを理由に直前の3月、突然契約を打ち切った。組合は「解雇」理由を説明するよう求めたが、会社が団交を拒否したため、大阪府労働委員会に救済を申し立てた。府労委の審問で朝日放送は証人も出さず、勧められた和解協議も一蹴した。組合は今、一刻も早い解決を目指し団体署名や街頭宣伝を行っている。年明けには命令が交付される予定だ。

     吉岡委員長は「そもそも派遣とは名ばかりで、朝日放送が選考して就労したスタッフばかり。通常の派遣とは異なり、実態は直用ないし社員同然だ」と指摘。会社には団体交渉に応じる義務があると語る。

     その上で、同委員長はこう訴える。

     「収入は社員の数分の一でも、5人は常に向上心と誇りを持って仕事に臨んできた。だからこそ私たちは合理的な解雇理由を知る権利がある。報道機関である以上、朝日放送は言論で組合員に接するべきだろう。理由がないのであれば職場復帰させよと求めるのも当然である」