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    「電気アイロンは必要か?」/東京地評などの最低生計費調査/若者らが確定作業で議論

     東京地評・東京春闘共闘会議が、首都・東京での「最低生計費調査」の仕上げ作業を進めている。11月15日には、若い単身者の生活実態を正確に把握し数値を確定しようと、若者たちが「合意形成会議」に参加して熱い議論を交わしていた。

     最低生計費調査は、マーケット・バスケット方式で行っている。一定の生活に必要なものを個別に確定し積み上げて生計費を算出する方法で、3500人の調査を実施した。憲法25条が保障する、あるべき「普通の暮らし」を送るにはいくら必要なのかを明らかにするのが目的だ。持ち物については「保有率7割以上」を条件とし、各品目の耐用年数を踏まえて1カ月の生計費に組み込む。

     この日は、20~30代の若者28人が参加し、調査結果に基づき話し合った。

     

    ●保有率7割未満だが…

     

     調査結果では「電気アイロン」の保有率は、若者全体で62・5%だった。男性58・4%、女性68・4%で、7割には届いていないが、女性の保有率が7割に接近しており、対象に加えるかを議論した。

     25歳が対象モデル。参加者は自分や同年代の人々の実態から意見を出し合った。

     電気アイロンの必要性を強く訴えたのは男性だった。「仕事上の身だしなみとして必須」「クリーニング代を節約するために使っている」との意見が相次ぐ中、「形状記憶の機能がついている洋服を買えばいい。必要ない」「アイロンをかける時間があるなら眠りたい」などの意見も出された。

     「他の人の意見を聞き、男性の方が必要なのではと思った」「女性も毎日洗濯できないパンツスーツにアイロンをかけている。女性も必須」と、議論は白熱し、討論の結果、男女とも保有対象に電気アイロンを加えることを決めた。

     会議は2時間半にも及んだ。参加した女性は「みんなで考えられたのが良かった。もっと賃金の底上げが必要だと感じた」という。営業職で働く別の女性は「面白かった。生活する上で何を大切にして、お金を使っているかは人によって違う。それを議論で話し合えたと思う」と語った。