パワハラ防止関連法の施行(2020年6月)を前に、パワハラの例示や講じるべき措置を定めた指針案の策定作業が大詰めを迎えている。日本労働弁護団などは「パワハラを助長しかねない」として、厚生労働省に対し、指針案に関する意見を届けるよう呼びかけている。同省のパブリックコメントの受け付けは12月20日まで。
厚労省は10月、パワハラ防止策を定めた指針素案を示したが、対象範囲が狭いことや、パワハラを容認するとの誤解を与えかねない記述が含まれていたことなどから、労働団体や労働弁護団、人権団体が抜本的な修正を求めていた。11月に一部修正され、労働政策審議会で大筋合意。同省は現在、指針策定に向けてパブリックコメントを受け付けている。
労働弁護団が12月10日、都内で開いた集会で、労働政策審議会・分科会の労働側委員である井上久美枝・連合総合政策推進局長は「パブコメを受けた上で、次の審議会で最終的に判断する。皆さんの応援を背に受けながら『国民の声はこうだ』としっかり訴えていきたい」と語った。
集会では労働側委員の対応を問題視する意見も出たが、労働弁護団の棗一郎闘争本部長は「こんな指針案を作らせた使用者側と、それを許した公益委員、厚労省がひどい」と指摘。6月に採択されたハラスメント防止条約の批准を見据え、禁止規定の創設を目指す立法闘争に踏み出そうと呼びかけた。
〈写真〉ハラスメント根絶へ「みんなのパブコメ大作戦」を呼びかけた(12月10日、都内)
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大西 一馬 (火曜日, 17 12月 2019 10:38)
地方自治体の職場ですが、安全衛生委員会でもパワハラ指針の策定が課題となっています。しかし、指導なのかとパワハラなのか、難しいということで当局は具体的な指針作りには消極的です。今回国が指針を作ると言う事で、その動向を注視するというスタンスです。
現場では、人員不足の中、業務が多忙な中、人間関係もぎすぎすし、実際パワハラも起こっています。今回の指針案が使用者側の立場から該当しない事例をあげているのは、結局指導のためという理由があれば、許されてしまうという風土を助長しかねないので、該当しない事例は削除してください。また、国が決めた指針は地方自治体にも大きな影響があるため、慎重な審議をお願いします。