「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    卒業後の職業紹介で金銭収奪/留学生相手の社団法人/ベトナム人7人が集団訴訟

     日本での就職活動中に違法な有料職業紹介で金銭をだまし取られたとして、日本語学校などを卒業したベトナム人留学生ら7人が12月16日、一般社団法人日米国際投資振興機構に対し、損害賠償など合計約520万円を求め、東京地方裁判所に提訴した。

     「就労できるビザ(在留資格)を申請してくれる会社を保証します」

     日本で就活をしていた原告は、こうした同法人の宣伝を見て「就職訓練コース」を契約し、約10万円を支払った。ところが同法人は、面接練習などの訓練を行わず、在留資格の申請が通る見込みのない飲食店や清掃業を紹介し、職員同席で面接を受けさせたという。事前に労働条件の明示や業務内容の説明はなく、内定後は「内定成功コース」の費用としてさらに約10万円を支払わされた。

     原告は同法人に返金を求めたが、一切応じなかったため、集団訴訟に踏み切った。弁護士を通じて厚生労働大臣と東京労働局に職業安定法違反申告書も提出したという。

     日本語学校に留学した場合、卒業後1カ月で在留期間が切れるため、それまでに就職先を決めて、ビザを切り替えなければならない。時間に余裕のない留学生の心理に付け込んだ悪質なビジネスとの指摘もある。

     

    ●違法紹介多いネット

     

     訴訟を支援する首都圏移住労働者ユニオンの本多ミヨ子書記長は、日本語学校の留学生にも大学同様、1年の就活滞在を認めるべきだと指摘。「外国人の求人はネットが多く、違法な紹介がはびこる。専門的技術的分野の在留資格による就職や転職は全てハローワークで行うなど、政府は対策を取ってほしい」と訴えている。