「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    実態踏まえた原爆症認定を/被団協などが厚労相と協議

     日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)とノーモアヒバクシャ訴訟全国原告団、原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会は12月18日、加藤勝信厚生労働大臣との定期協議を行った。全国から被爆者や支援者79人がつめかけ、傍聴席を埋めた。

     日本被団協などは現在、行政が原爆症認定の判断基準としている「新しい審査の方針」(2013年)を不十分として、病名や直接被爆した範囲の対象拡大、被爆から70年以上を経た被爆者の実情を踏まえた基準策定を求めている。

     

    ●裁判判決で統一基準示す

     

     協議の中で、弁護団の安原幸彦副団長は「原爆症認定制度は制度疲労を起こしている。100回を超える裁判判決で統一的な基準が示されている。認定基準を見直してほしい」と訴えた。

     加藤厚労大臣は「一定の科学的な根拠を積み上げなければならない。それは時代とともに変わっていくこともある。ハンセン病家族への対応なども一歩進んでいる。そういう流れを踏まえながら議論していきたい。裁判判決を分析、議論し、お互いが一歩を重ねて必要な結論を出していく」と応じた。

     その上で、「認定基準について、見直すとは言えないが、協議を通じ、より実態に則した認定になるようにしていきたい。協議の持ち方、開催時期なども含めて事務方で進めていきたい」と述べた。

     

    ●見直しの方向性、見えた

     

     協議後の記者会見で、弁護団の宮原哲朗事務局長は、大臣発言について「(基準見直しに)正面から答えなかったが、方向性として局長、室長と話し合いをしなければいけないなという雰囲気はあった。事務方レベルでの継続的な協議を申し入れたい」と語った。

     来年1月21日、原爆症認定について最高裁で弁論が行われる。被爆75年を前に、被爆者の声が届くのか注目される。

     

    〈写真〉協議は一問一答方式で行われ、大臣は答弁書を見ずに自分の言葉で話す場面もあった(12月18日、厚労省)