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    「賃金は生活費」最後まで貫こう/JMITUが臨時大会/ストで闘う春闘方針決定

     金属加工や製造、情報通信などの労働組合でつくる日本金属製造情報通信労働組合(JMITU)は2月1日、臨時大会を開き、20春闘方針を決定。春闘統一スト権を確立した。

     方針は「全体としてここ数年の好況の中で企業は体力を強化している」と指摘。ストライキを背景に、大幅賃上げや格差是正、長時間労働の規制、ハラスメント防止対策などを掲げて闘う構えだ。

     

    ●賃金は分け前ではない

     

     統一要求基準は「一律3万円以上+格差是正」で時間給労働者は「200円以上」。企業内最低賃金は「月額20万円、時給1300円」とする。定年後継続雇用者(再雇用者)や女性が多いパート・臨時・契約社員などの均等待遇を重視している。

     三木陵一委員長は「賃金は利益の分け前ではない。生活費だ」と強調。回答が出ると、この視点がおざなりになりがちだが、最後まで貫くことが大事だと語った。

     

    ●要求つかみ、産別団交で

     

     討論では、秋季年末闘争で勝ち取った成果と今春闘への決意が語られた。

     兵庫の文化シャッター労組では、人員増やサービス残業の改善、組合事務所新設、プレス機の安全装置設置、工場の雨漏り修繕、協力会社から社員が受けたパワハラへの対策など15項目を経営側に提出。団体交渉を重ね、支部の事務所設置などが決まった。代議員は「18春闘や19春闘でストを背景に手当や労働環境を改善させてきたことが今回の実現につながった。職場の声をつかみ、闘うことが大事だ」と語った。

     大阪の野村製作所労組は長年実現しなかった休日増を「近年、若い労働者が増え、要求アンケートなどの声を経営側に提出してきた結果、1日5分の延長と併せて今回年6日の休日増を勝ち取った。今後、1日の労働時間短縮にも取り組む」という。新入社員や中途採用の労働者を組合に誘い、若い世代が「なぜ労働組合が大切なのか」を語ったことが加入につながったと話した。

     東京の南部地協では、継続雇用者の賃上げや処遇改善を重点的に取り組み、複数の組合が一時金や住宅手当、家族手当などで待遇改善を勝ち取った。「一緒に要求書をつくり、各支部・分会と対策会議も開き、(産別役員が労使交渉に参加する)産別団交を進めたことが実現への力になった」と述べた。

     

    〈写真〉臨時大会では、米ニューヨークで開かれる「原水爆禁止世界大会」に参加する田中翔太さんが発言。「ヒバクシャ国際署名を100筆集めたい」と決意を語った(都内、2月1日)