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    賃上げ要求でばらつき/自動車総連の大手労組/絶対額重視の取り組みを強化

     自動車総連のトヨタ、日産などは2月12日、春闘要求を会社に提出した。自動車総連は2年連続で産別のベア要求を設定せず「単組自決」としており、従来以上に要求はばらついた。

     トヨタは昨年に続いて定昇、ベア、諸手当を非公開とし、人への投資を含め平均賃上げ1万100円を要求した。3月期の純利益が2兆3500億円(24%増)と予測されながら、要求は昨年より1900円低く、妥結額を600円下回るが、手当内容が異なり単純比較はできないという。

     現行の成績査定に加え、新たにベアに関わる基準給にも人事考課の格差配分を提案。産別は「査定の成績率や人員配分などはわからない」としている。会社の人事査定による賃金格差の拡大は企業帰属意識を強め、組合運動への影響も指摘されている。

     日産は昨年同額のベア3千円を含め平均9千円を要求したほか、三菱自工など4組合が総額9千円を要求した。一方、本田は昨年より千円低い、2千円となっている。ベア非公開は昨年のトヨタ、マツダに加え、SUBARU、日野の計4組合に拡大した。

     賃金の絶対水準を重視する個別賃金では強化もみられる。35歳相当の中堅技能職では、トヨタが昨年より4130円高い38万7440円を要求。いすゞは昨年、個別賃金を非公開としたが、今回は33万9291円の要求額を公開した。産別は30歳と35歳の技能職について、37万円から21万5千円の5段階で10種類の到達指標を提示している。

     企業内最賃は18歳で16万4千円以上を設定している。大手の要求は約16万7千円と健闘。自動車総連の高倉明会長は「賃金の絶対水準や底上げの流れを加速させたい」と語っている。(鹿田勝一)