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    雇用調整助成金の拡充を/JAMが厚労省要請/新型肺炎が操業に影響

     新型コロナウイルス感染症に関する雇用調整助成金の特例を拡充し、雇用確保の対策を講じるよう、中堅・中小金属関係産別のJAMが国に求めている。2月以降に自社の操業への影響を指摘する組合が急増しているという深刻な事情が背景にある。

     雇用調整助成金は、急激な景気変動の影響を受けて業績が悪化し、従業員の一時帰休や教育訓練、出向によって雇用を維持した企業に、賃金や教育訓練費用などの一部を支給する制度。厚生労働省は2月14日、新型コロナウイルスによる影響で業績が悪化した企業に適用要件を緩和する特例を始めたが、訪日中国人客を多く扱う観光業やバス事業に特化したものとなっている。

     JAMが10日に行った緊急調査によると、26日時点の集計までに682単組が回答し、直近3カ月間で影響があったと答えたのが101組合に上った。2月以降の操業への影響があるとの回答が180組合に上り、可能性を指摘した85組合を合わせて、265組合が厳しい見通しを示した。既に14組合の企業で一時帰休に入っている。

     中国から原材料や中間財が供給されず、国内で十分な操業ができないまま待機している実情などが報告されているという。

     JAMは20日、厚生労働省に特例の拡大を行うよう要請した。2009年に新型インフルエンザ感染拡大の際に行った特例で、適用要件の緩和、助成金額の拡充などを行ったことを念頭に、一層の金額拡充、期間の延長、手続きの簡素化などを求めている。