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    新型肺炎に負けず、賃上げを/金属労協の要求状況/経営に早期決着の英断求める

     金属労協の2020春闘の要求状況がほぼ出そろった。要求額平均は前年を下回るが、多くの中小労組が大手を上回る賃金改善やベースアップを要求するなど、要求・交渉は粛々と進められている。新型肺炎の影響が日に日に拡大する中、早期解決を目指すとの声も聞かれる。大手の動向は3月第1週中にも大勢が決まると見られる。

     自動車、電機、鉄鋼、造船重機など金属労協の2月28日の賃金改善(ベア)の要求状況は、大手56組合の平均が前年比減の3156円。300人未満の中小も前年比微減で、3881円となっている。

     自動車総連は3月3日までに987組合が要求。特に注目するのが中小の要求額だ。大手を超える要求を行った組合は約6割に相当する536組合で、「規模の小さい単組ほど要求額が高い傾向にある」という。中堅中小のJAMも300人未満のベア平均が4701円で、大手を上回る。

     電機連合は大手が一斉に3千円の水準改善を要求。同2日の会見で野中孝泰委員長は、産別が設定する争議回避の妥結基準に賃金改善(ベア)以外の回答も認める「柔軟な対応」について、数社から提案があったことを明かした。

     新型肺炎の影響が広がる中、集会の中止・縮小や、交渉団の縮小など、各組合は対応を余儀なくされている。金属労協は、この問題を交渉に影響させないという構え。JAMの安河内賢弘会長は「早期に解決し、労使一丸となることが必要」と話す。

     連合の神津里季生会長は同4日、動画配信の「デジタル集会」で、「こういう時だからこそ、経済の好循環に向けた流れを堅持し、賃上げと労働条件改善を強め、さらに広げなければならない」と奮闘を呼び掛けた。