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    「労働者保護に風穴」/高年法改正案で労働弁護団/創業支援等措置には反対

     65歳以降70歳までの就業確保の努力義務を課す高年齢者雇用安定法改正案について、日本労働弁護団が3月4日、雇用によらない働き方を選択肢に含む改正内容に反対する集会を国会内で開いた。同法案は雇用保険法案などとの一括法案として今国会に提出されており、予算関連の日切れ法案として年度内の早期成立が目指されている。

     高年法改正案は70歳までの就業確保措置として、定年延長や継続雇用などのほか、「創業支援等措置」として(1)起業支援(2)社会貢献事業を行う高齢者との委託契約――を盛り込んだ。(1)(2)ともに個人事業主としての契約。どの選択肢を選ぶかは事業主の自由だ。

     この働き方について、闘争本部長の棗一郎弁護士は、労働基準法や最低賃金などの労働者保護が受けられず、労災事故に遭っても救済されないと指摘。企業はこうした負担の軽い方法を選ぶとの見方を示し「65歳以上の高齢者の就労確保に名を借りてわが国の雇用を破壊し、労働者保護に大きな風穴を開けるものだ」と批判した。

     立憲民主党の石橋通宏参院議員、尾辻かな子衆院議員、共産党の宮本徹衆院議員が来賓あいさつ。収入が低く、経費分を差し引かれて「マイナス給与」になることもあったと話す当事者らが「非雇用」就労の実情を訴えた。

     

    〈写真〉労働弁護団の水野英樹幹事長は「非雇用」就労について「ハイリスク・ローリターン、ノーリターンだ」と指摘した(3月4日、国会内)