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    労働者性認め、救済命令/東京都労委/東電系企業の団交拒否事件

     東京電力グループのワットライン社で電気メーターの交換工事を請け負って働く人たちが労働組合を結成したところ、会社は団体交渉を拒否した。この件で東京都労働委員会は3月4日、「工事作業者が労組法上の労働者に当たることは明らかだ」とした上で、団交拒否を違法と断罪。「組合の弱体化を企図した支配介入にも当たる」と述べ、団交に応じるよう命じた。

     救済を申し立てていたのは、全労連・全国一般労組東京地方本部と傘下の計器工事関連分会など。都労委では、工事作業者が労組法上の労働者に当たるかどうかが大きな争点だった。会社側は、請負契約が結ばれていることから、「労組法上の労働者とはいえない」と主張していた。

     労働者性の判断に当たって命令書は、これまでの最高裁判例通り「契約の名称などの形式にとらわれることなく、その実態に即して客観的に判断する必要がある」と指摘。

     作業者の働き方について(1)研修や賞罰制度、業務地域や業務日の割り振りなどで会社に管理され、工事遂行に不可欠な労働力として会社組織に組み込まれている(2)契約内容を変更する余地はほとんどなく、主要な部分は会社が一方的・定型的に決定している(3)請負金は毎月25日の支払いが保証されており、労務提供に対する対価としての性格を有している――などの判断を示し、労働者性ありと結論付けた。

     労働側の鷲見賢一郎弁護士は全面勝利としつつ、こうも訴えた。

     「最高裁判例に従えば、彼らに労働者性があることは明らか。会社はそれでもあえて団交を拒否し、命令まで1年半もかかった。政府が多様な働き方を推進し、請負労働を増やそうとしている時であり、迅速に救済すべきだ」