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    設計労務単価、初の2万円台/「実際の賃金との差埋めよう」

     国土交通省はこのほど、新しい公共工事設計労務単価(今年3月から適用)を発表した。公共工事の精算の際、建設労働者が受け取るべき賃金として設定されるもので、8年連続の引き上げ。末端の労働者に対して、その金額をどう確保するかが課題だ。

     設計労務単価は、全都道府県・51職種別に設定されている。今年の全国全職種平均値は2万214円で、初めて2万円を超えた。

     末端の労働者にその額が支払われているわけではない。下位業者ほど買い叩かれる「下請け重層構造」であることと、上位企業に請求する見積書で事業主が負担する必要経費などをしっかり請求できない慣行があるためだ。上位企業に請求できないまま必要経費を確保すれば賃金部分を削らざるを得ないという。

     

    ●賃金・単価引き上げ求め

     

     設計労務単価の引き上げは建設産業全体の賃金底上げが狙い。だが、全建総連の調査(19年・12万人対象)によると、実際の賃金と設計労務単価との差は開く一方だ。1日当たりの平均賃金は常用で1万5308円。19年の設計労務単価と比較すると4084円もの差になる。1日「2万円以上」の賃金を得ているのは16・6%にとどまる。

     全建総連は春闘期に合わせて、賃金・単価引き上げなどを求める宣伝行動を全国で行っている。

     下請け業者が労働者の賃金を確保できるように、法定福利費など内訳を明記する見積書の徹底を要求。民間工事であっても設計労務単価基準の賃金を保障すべきと主張している。