「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    昨年上回るベア2147円/UAゼンセンの妥結集約/「予想以上に堅調」

     製造、流通、サービスなど内需産業労組のUAゼンセンは3月12日、同日10時現在の妥結状況を集約した。正社員のベア平均で昨年を上回る2147円(0・75%)を引き出すなど「予想以上に堅調」な滑り出しだ。パート労働者の時給引き上げでは33・7円(3・29%)と正社員の賃上げ率を超えている。

     正社員については113組合が妥結した。定期昇給相当分を含む総額は単純平均で7298円。6割以上が前年以上を引き出している。特にドラッグストア9組合、家電量販店9組合で昨年比千円以上のプラス。深刻な人手不足が背景にあるという。

     ベア分を企業規模別でみると、300人未満の中小10組合で2856円(1・06%)、300人以上の59組合が2027円(0・7%)と、額、率ともに中小が上回っている。

     松浦昭彦会長は「ほぼ前年並みを確保した。『新型コロナウイルスの問題を賃上げにくっつけて考えるのは労使の信義にもとる』として横に置いて決着してきた。むしろ賃上げをしっかりやって新型コロナ対策に取り組もうと確認してきた。今のところ影響はほとんどない」と述べた。ただ、今後はトヨタの回答を含め、影響を懸念する。

     UAゼンセンは実質賃金確保を重視し、過年度物価上昇分「0・6%」を一つの指標にそれ以上のベア獲得を目指す。

     

    ●130円引き上げも

     

     パートの時給引き上げは73組合が妥結。前年と比較可能な66組合で前年比4円のプラスだ。中には130円(新星堂)、51円(サイゼリア)の引き上げも報告されている。

     深刻な人手不足と、3%前後で上昇する近年の地域別最低賃金で押し上げられていると分析している。

     

    〈写真〉「前年並みを確保できた」。UAゼンセンはベア平均2147円に「予想以上に堅調だ」と手応えを語った(3月11日、都内)