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    「声上げれば変えられる」/青年ユニオンの組合員/「富士そば」がシフト減分を補償

     関東を中心にチェーン展開する「富士そば」で働く従業員が、新型コロナウイルス感染拡大による勤務シフト削減分の休業補償を求めて運営会社のダイタンキッチンと交渉し、このほど全額補償するとの回答を得た。千葉県内の店舗で勤務する岸本優さん(52)と、所属する首都圏青年ユニオンが4月17日、都内で会見を開き公表した。

     岸本さんは「声を上げれば変えられると感じた。私と同じように困っている人は多いと思う。どうか孤立せず、交渉する方法があり、協力してくれる人がいることを知ってほしい」と語った。ユニオンは同社の対応を評価しつつ、感染防止のための休業要求についての回答を求めている。

     

    ●「誠実な回答」

     

     岸本さんによると、週40時間勤務だったが、2月下旬ごろから売り上げが減少し、週24時間にまで勤務を削減された。収入は大幅に減った。

     「非正規雇用だし、あまり強いことも言えない」とも思ったが、減収分の補償はなく、生活が立ち行かない。インターネットを通じて、個人で組合に加入し会社と交渉できると知り、首都圏青年ユニオンに加入。4月15日の最初の団体交渉で、組合員については勤務シフト削減分の賃金全額補償と、国の雇用調整助成金活用の回答を得た。

     同ユニオンの栗原耕平事務局次長は「(法定の)6割を大きく超える全額補償。その点では誠実な回答を得た。今後は全社的に補償するよう求めていく」と語った。岸本さんは「とりあえずホッとしている。当面の生活はやっていける」と述べ、ユニオンに相談して解決する道があることを強調した。

     

    ●コロナで死ぬか飢え死か

     

     ユニオンは、感染拡大地域での営業を当面停止した上での賃金全額補償も求めている。

     富士そばでは、厨房(ちゅうぼう)に面したカウンターで客が食事を取ることもある。客が食事中にくしゃみやせきをすると、飛沫(ひまつ)を浴びる可能性が高い。従業員の間では「コロナで死ぬか、飢えて死ぬか」との会話が交わされているという。

     この点について、4月17日時点ではまだ回答がない。岸本さんは「リモートワークできない人は毎日通勤している。感染することや、感染させることが心配。休業補償(の充実)を政府に対しても声を上げていかなければならない」。