「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    「休業には補償」徹底を/新型コロナの各種支援制度/長期化見据えた拡充が課題

     新型コロナウイルスをめぐる緊急事態宣言発令から1カ月が過ぎ、休業補償や生活支援のための制度の拡充がようやく動き始めた(表)。第2次補正予算の検討も始まる中、労組や生活支援団体は「休業には補償を」「生存権を保障せよ」の声を強めている。

     焦点の一つが雇用調整助成金だ。「雇用保険2事業」から休業手当の8~9割超が支給される制度だが、支給決定件数はまだわずかで緊急事態に対応できていないと批判されている。現在、簡素化・迅速化が検討されている。上限日額8330円の引き上げも与党サイドが言明。現状では満額でも月額約16万円にしかならず、労組や野党が引き上げを求めていた。

     労災補償について国は、感染経路が明確でなくても仕事が原因とみられる場合は認定する方針を決めた。医療・介護や、スーパーマーケットなど不特定多数と接する業務に従事する人が対象となる。

     仕事や通勤以外で感染し休業した場合、健康保険の傷病手当(平均賃金の約3分の2)がある。特例で国保加入者でも傷病手当を受けられるよう国が全額支援を決めた。社会保険に加入していない非正規労働者には朗報だ。

     休業中に失業手当を受け取れる制度も検討され始めた。東日本大震災の際にも導入された仕組みで、事業主が申請する雇用調整助成金と違い、労働者本人が申請できる利点がある。日本弁護士連合会や地域ユニオンなどが求めていた。

     1人一律10万円の支給や事業主への持続化給付金のほか、6月半ばまでの成立が目指される第2次補正予算では家賃補助や困窮学生支援も課題となる。

     一連の拡充は労組や野党が要求し実現に至ったものが多い。冬に向け再度の感染拡大が懸念される。長期戦を見据え、現場の声を届ける取り組みが必要だ。