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    役職定年延長などの削除を/検察庁法改正案で日弁連が声明/三権分立を揺るがす恐れ

     定年引き上げに関する国家公務員法の改正法案と一括で審議されている検察庁法改正案について、日本弁護士連合会は5月11日、反対する会長声明を発表した。同法案に関する声明は4月に続き、2度目。

     法案について声明は、内閣か法務大臣の裁量で、幹部検察官の役職定年や勤務の延長を可能にするものであり、検察人事への介入に当たると批判。検察官は準司法官であり、政治的中立性が脅かされれば、憲法の基本原則である三権分立を揺るがす恐れがあると指摘し、当該部分の削除を求めた。

     政府与党が急ぐ今国会での審議について「改正に緊急性など全くない」と強調。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の下、重大な問題をはらんだ法案の拙速な審議に強く抗議した。

     同日の会見で大川哲也副会長は、法案の条文が非常に複雑で難解だと指摘。「新型コロナウイルス感染症への対策が最優先の中、国民に熟慮の機会を与えずに審議するのはあり得ない」と批判した。

     時の政権が人事に介入すれば、若手や中堅を含め、検察官全体が萎縮する恐れがあると指摘。その上で、三権分立について「検察官は広大な捜査権と起訴権限を持ち、司法に密接にかかわる。現行法でも、検察官は一般の公務員と異なるとして、職務と責任の特殊性から特例を定めている。もし、行政側になびいてしまえば、(国会、内閣、裁判所が相互に抑制し合う)三権分立のバランスが崩れてしまう」と訴えた。

     

    〈写真〉改正案の危険性を指摘する大川副会長(5月11日、都内)