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    元請けが下請けに休業補償/新型コロナ対応/ゼネコンで対策始まる

     新型コロナウイルス対応で元請けのゼネコンが1次下請けの従事者に対して休業補償を始めた。直接雇用ではない従事者に対して休業補償を行うのは画期的だと関係者は指摘する。

     大規模な建設現場では多職種の従事者が千人規模で働くため、3密(密閉、密集、密接)状態が起こりやすい。4月初旬には、首都圏のゼネコン現場を中心に新型コロナ感染症に罹患(りかん)した従事者が相次ぎ、現場を閉所する事態が広がった。感染拡大防止のために必要な措置だが、日給で働く従事者にとって「補償なき休業」は死活問題だ。

     

    ●大手や住宅メーカーも

     

     ある大手ゼネコンは4月下旬、特定警戒都道府県の現場で閉所開始日から当初の緊急事態宣言終了日5月6日まで、ゼネコンが定めた標準労務単価の8割を休業補償すると通知した。重機などのリース代も閉所期間にこだわらず、元請けに請求可能とした。別のゼネコンは「閉所協力金」を支払うという。

     ある住宅メーカーでは、閉所開始日から5月10日まで、1人工(にんく)1万円の休業補償を決めた。

     

    ●組合が何度も要請

     

     全建総連関東地協は4月初めから、元請け責任で末端の従事者を含めて休業補償するよう求め、要請を重ねてきた。 

     ゼネコン現場は多重下請け構造で、従事者の多くは下位の中小業者に属している。「現場が止まれば収入がなくなる」「(上位業者からの)補償があるのか不安だ」という切迫した声が組合に届いていた。

     ゼネコンによる休業補償とはいえ、これは1次下請けとの取り決めだ。職種ごとに2次、3次下請けなど重層的な関係となっているため、末端の従事者にまで補償が行きわたるとは限らない。

     東京土建の賃金対策担当者は「末端の従事者が休業補償されるかを注視し、個別対応もする。必要であればゼネコンに対しても再度要請していく」と話す。

     ある大手ゼネコン現場で3次下請けとして働く従事者は、現場閉所に伴い1週間近く休業を余儀なくされた。組合に相談し、上位の2次下請けと交渉。その結果、元請けが1次下請けと取り決めた同じ基準で休業補償することで話がまとまったという。東京土建の担当者は「こういう事例を広げていくことが大事だ」と語っている。