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    時の問題/職員の10万円を県に寄付?/自治労神奈川県職労が提案/組合の呼び掛けに疑問の声

     自治労神奈川県職労が全国民対象の定額給付金(10万円)について「コロナ休業者等の支援」のため、県独自の協力金(最大30万円)などの原資に充てる目的で、組合員や職員に県への寄付を提案したことが波紋を広げています。

     自治労県職労は4月24日に提案を発表しました。休業要請に応じた中小企業へ県が最大30万円の協力金を交付することを紹介。そこで働く労働者を支えるためには、職員らが「10万円の給付を受けた上で、それを県の協力金等の原資に寄付すること」を呼び掛けました。

     10万円の給付金をどうするかは「当然、職員一人一人が個人として判断すべきこと」とし、労組として強制するものではないとしてます。

     

    ●賛否両論の意見が…

     

     この提案については「各方面から賛否両論の意見があった」とし、自治労県職労は同28日にチラシを配布。「私たちの説明不足と、それによる誤解もある」ので、あらためて説明することにしたといいます。

     チラシによると、寄せられた意見は(1)なぜ組合が寄付を呼び掛けるのか(2)給付金をどうするかは各自の自由ではないのか(3)同調圧力が働くのではないか(4)なぜ県への寄付なのか――など。自治労県職労は、寄付はあくまでも選択肢の一つだと強調。組合としてカンパの呼びかけも検討したが、「現時点ではそのような余裕はない」とし、県の協力金の原資とすることがよりよい支援につながり合理的だと述べています。

     

    ●職員間の分断招く恐れ

     

     組合として、困っている民間の仲間を支援したいという気持ちは理解できますが、問題は手法でしょう。

     別組合の神奈川県職労(自治労連加盟)は、今回の提案に対する見解を発表。「労働者間での分断を招きかねない問題をはらんでいる。新型コロナに職員一丸となって立ち向かっている士気にも影響を被りかねない」と懸念を表明しました。「労働組合が提案することではない」という主張です。

     自治労連県職労の杉田厚副委員長は「広くカンパなどを募るのはいいが、10万円の給付金を名指しして寄付を呼び掛けるやり方には問題がある」といいます。

     県の協力金の不十分さについて見解は「今まさに困窮している県民や事業者への休業補償を確実に行うことにより、安心して自粛・休業できる環境を整えることが必要だ」と指摘。具体的には(1)県の財政調整基金や県債管理基金をさらに取り崩して財源に充てる(2)国の補助対策のさらなる拡充を全国知事会などとともに国に要請し続ける――ことが必要だと強調しています。

     

    ●公務員労働者の役割

     

     公務員への給付金支給をめぐっては、橋下徹・元大阪府知事が「公務員は毎月変わらず収入が入ってくるのだから、給付金を支給すべきではない」と主張していました。広島県の湯崎英彦知事は県職員に給付される10万円を県のコロナ対策に充てたいと一方的に述べ、非難が殺到して撤回した経緯もあります。

     公務員労働者は私たちと同じ、国民の一人です。知事らのしもべではありません。まして今や、医療や介護の現場をはじめ、感染症の危険がある職場で公共サービスを支えて日々奮闘している仲間です。広島県知事らの動きは論外として、労働組合もそこを忘れないでほしい。